2003 Fiscal Year Annual Research Report
オロソムコイドの遺伝子多様性と機能の解析およびその展開的研究
Project/Area Number |
14570387
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
入澤 淑人 鳥取大学, 医学部, 教授 (90112226)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 助教授 (10091828)
中川 真由美 鳥取大学, 医学部, 助手 (00243410)
湯浅 勲 鳥取大学, 医学部, 助教授 (00093633)
|
Keywords | オロソムコイド / α1-酸性糖タンパク / 遺伝子多様性 / 遺伝子重複 / 機能解析 |
Research Abstract |
オロソムコイド(ORM)遺伝子はORM1とORM2の縦列した二つの遺伝子座からなるが、昨年度までに日本人やアフリカ人の構造を調べ、ORM1あるいはORM2がさらに重複して、少なくとも三つの遺伝子座からなる染色体が存在することを明らかにしてきた。本年度は、ドイツ人のDNAを用い、既報にしたがって、遺伝子間のlong-PCRによる増幅、塩基配列の決定、制限酵素による確認などによって、遺伝子構造を分析した。ORM2の重複を示すp22産物は検出されず、ORM2の重複は現在のところ、ガーナ人で観察された一家系のみであった。一方、ORM1の重複を示唆するp11産物は20人中6名で、日本人やアフリカ人と同程度の出現頻度であった。表現型はF1型とF1-S型の2種類に認められ、塩基配列を決定すると、アフリカ人と同様に、ORM1*F1の重複が生じていた。組み換え部位はORM1B*F1のエクソン1の上流にあり、日本人やアフリカ人と同様、組み換えのホットスポットであった。その部位の塩基配列がヘテロ接合型のものもアフリカ人と同様に観察され、ORM1の三重複遺伝子の存在が示唆された。また、その6人中3人はORMlB*F1のイントロン5がORM2の配列を示した。このような配列はアフリカ人でもみられたが、異なる遺伝子に起きていた。このように、遺伝子変換や組み換えが頻繁に起きてきたことが明らかになった。アフリカ人に認められたORM2遺伝子内の6ヶ所の多型部位のうち、ドイツ人では5箇所で多型的であったが、エクソン部の3箇所はヘテロ接合度がアフリカ人にくらべてきわめて低く、日本人と同様の傾向を示した。アフリカ、ヨーロッパ、アジアの3集団で認められたORM1の重複の発生時期を解明するために、他の霊長類の遺伝子構造の研究が必要である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Nakagawa M, Yuasa I, Irizawa Y, Umetsu K: "The human complement component C1r gene : the exon-intron structure and the molecular basis of allelic diversity."Annals of Human Genetics. 67(3). 207-215 (2003)
-
[Publications] Ono H, Sakura N, Yamashita K, Yuasa I, Ohno K: "Novel nonsense mutation (R194X) in the PMM2 gene in a Japanese patient with congenital disorder of glycosylation type Ia."Brain and Development. 27(7). 525-528 (2003)
-
[Publications] Naito E, Dewa K, Fukuda M, Sumi H, Wakabayashi Y, Umetsu K, Yuasa I: "Novel paternity testing by distinguishing parental alleles at a VNTR locus in the differentially methylated region upstream of the human H19 gene."Journal of Forensic Sciences. 48(6). 1275-1279 (2003)
-
[Publications] Yuasa I, Umetsu K, Tsuchida S, Irizawa Y, Henke L, Henke J: "The human esterase D gene : molecular basis of ESD*5 and ESD*7 and haplotype analysis with new polymorphisms in introns."Human Biology. 76(in press). (2004)
-
[Publications] 湯浅 勲, 中川真由美, 入澤淑人, 中村博明, 梅津和夫: "オロソムコイド遺伝子の分子進化:アフリカ人における変異"DNA多型. 11. 95-98 (2003)