2002 Fiscal Year Annual Research Report
心理的ストレス・マーカーとしての尿中ビリルビン酸化物質の利用
Project/Area Number |
14570409
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山口 登喜夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30134745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 昭子 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (60143608)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
山岡 昌之 国家公務員共済組合連合会, 九段坂病院・心療内科, 診療内科部長
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Keywords | Bilirubin / Biliverdin / Bilirubin oxidative metabolites / Biopyrrin / Antioxidant / Oxidative stress / Psychological stress / Home oxygenase |
Research Abstract |
平成14年度研究業績の重要な成果(トピックス)として、「紫外線や薬物あるいは器質異常による明らかな酸化ストレスのみならず強い心理的ダメージを受けた直後の個人の尿中にバイオピリンが健常人の4-12倍に増加していた。この事実より、初めて心理的ストレスにおいても体内に酸化ストレスが負荷されることが明らかになった。」[Yamaguchi, T. et al. (2002)Biochem.Biophys.Res.Commun.293(1),517-520.]以下に、その研究内容を抜粋してしめす。【目的】近年、心理的ストレスが活性酸素種(ROS)を産生することが解ってきた。また我々の研究を初めとして、ビリルビン(BR)が生体内ROSに対して抗酸化作用を示しそれを消去していることも明らかになっている。しかしながら、心理的ストレスで生成するROSをBRが消去するか否かは、全く知られていない。そこで、心理的ストレスを負荷した後、被験者の尿中BR酸化生成物(BOM ; Biopyrrin)レベルの変動を測定した。【方法】ある企業に勤める60人の男性の被験者を3群に分けスピーチ・ストレス実験(会議にて重役の前で、自分が会社の発展にどのような寄与ができるかを発表する。その発表内容と質議・応答にて成績評価される)を行った。当日、第一群(n=9)は会議への出席は免除する。第二群(n=19)は、会議には出席するが発表は免除する。第三群(n=32)は、会議に出席し20分間の発表を行う。その際、被験者には自ら感じるストレス強度(+1〜+4)を申告してもらう。翌日、各群の早朝尿をELISA(24G7)にてBiopyrrinレベルを測定した。【結果・考察】スピーチ・ストレスが負荷された第三群は、BOMレベルが第一群(p<0.01)及び第二群(p<0.05)に比して有意に高値を示していた。また、ストレス強度(+1〜+4>とBiopyrrinレベルとの間に有意な相関(r=0.53,p<0.01)があった。この事実より、心理的ストレスはBOMレベルと連動しており、このBiopyrrinは心理的ストレスの有効なマーカーとなりえる事を示している
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tokio Yamaguchi: "Psychological stress increases bilirubin metabolites in human urine"Biochem. Biophys. Res. Commun.. 293(1). 517-520 (2002)
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[Publications] Tokio Yamaguchi: "Azidothymidine causes functional and structural destruction of mitochondria, glutathione deficiency and HIV-1 promotor sensitization"Eur. J. Biochem.. 269(11). 2782-2788 (2002)
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[Publications] Nobuaki Ozawa: "Leydig cell-derived heme oxygenase-1 regulates apoptosis of premeiotic germ cells in response to stress"J. Clin. Invest.. 109(4). 457-467 (2002)
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[Publications] Rina Takamiya: "Stabilization of mast cells by heme oxygenase-1 : an anti-inflammatory role"Am. J. Physiol. (Heart Circ. Physiol.). 283(3). H861-H870 (2002)
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[Publications] 山口登喜夫: "臨床検査・21世紀の展望『酸化.ストレスと疾患予防』(分担執筆)"社団法人愛媛県臨床衛生検査技師会 編纂. 324 (2002)