2003 Fiscal Year Annual Research Report
摂食障害における食欲・体重調節関連物質の遺伝子解析
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14570436
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
安藤 哲也 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・心身医学研究部, 室長 (50311428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小牧 元 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・心身医学研究部, 部長 (70225564)
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Keywords | 摂食障害 / 神経性無食欲症 / 神経性大食症 / グレリン / ドパミン受容体 / 脳由来神経栄養因子 / 感受性遺伝子 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
<摂食障害患者および健常者の遺伝子試料の収集>全国の研究協力施設で摂食障害患者の血液試料と臨床データを収集した。サンプル数は平成16年3月時点で病型が確認されたものだけで神経性無食欲症(AN)241人、神経性大食症(BN)111人に達した。某大学女子学生の健常ボランティア204人で遺伝子解析および血中物質測定用の血液試料の採取、身長、体重、体脂肪率等の測定、摂食障害関連心理特性の測定を行った。 <遺伝子解析>昨年度のUncoupling protein-2/3遺伝子の解析結果を欧文雑誌に投稿し受理された。今年度はグレリン、脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子、ドパミン受容体(DRD4)の多型を解析した。グレリンは強力な内因性摂食刺激物質である。グレリン遺伝子のLeu72Met多型を解析し制限型ANでMetアレルの頻度が高く、BNでLeu72Met型の頻度が高い傾向を認めた。非臨床例の女子学生のサンプルにおいてLeu72Met型では他の型に比較して質問紙で測定したやせ願望、過食、身体への不満の程度が有意に高かった。以上の所見は、この多型が食欲の強さに関連する可能性を示唆するものと考えられ、さらに検討を進めている。一方、摂食障害と特定の性格特性とが関連することが知られている。ANでは新奇性追求が低く固執傾向が高くBNでは新奇性追求が高い。そこで、こられの性格特性と関連するDRD4遺伝子の-521C/T多型を摂食障害患者で解析したがいずれの病型とも関連は認められなかった。BDNFは神経細胞の生存と分化に重要な役割を果たしシナプス効率や可塑性にも関与する。摂食障害患者で血中BDNF濃度が低下し、うつや過食の程度と相関すること、BDNFのVal66Met多型と摂食障害との関連することが報告されている。そこで、我々のサンプルで追試を施行したがいずれの病型とも関連は認められなかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tetsuya Ando: "Uncoupling protein-2/3 polymorphism is not associated with anorexia nervosa"Psychiatric Genetics. in press.
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[Publications] 安藤哲也: "セロトニン・トランスポーターの多型性"内科. 92. 634-637 (2003)
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[Publications] 安藤哲也: "摂食障害の罹患感受性遺伝子"分子精神医学. 発表予定.