2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト消化管におけるNotch遺伝子による分化制御と発癌機序の解析
Project/Area Number |
14570441
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今谷 晃 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (30333876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 仁 東北大学, 医学部・附属病院・消化器内科, 助手 (90241596)
大原 秀一 東北大学, 保健管理センター, 助教授 (40223929)
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Keywords | Notch遺伝子 / 分化制御 / 癌化メカニズム / 胃癌培養細胞株 / 分化マーカー / Sodium butyrate |
Research Abstract |
ヒト胃粘膜の分化制御およびその異常による癌化のメカニズムを解明する目的で、分化・細胞の運命に重要な役割を果たしているNotch遺伝子ついて培養細胞系を用いてin vitroでの解析を始めた。まず、対象とした胃癌細胞株は、AGS、MKN7、MKN28、MKN45、KATO III、GCIY、また大腸癌細胞株は、SW480、HT29である。これら癌細胞株のmRNAを抽出した後、4種類のNotch遺伝子ファミリー(Notch1-4)の細胞内ドメインにおけるmRNA発現をRT-PCR法を用いて検討した。その結果、Notch1-3に関しては、上記のすべての癌細胞株においてRT-PCRレベルで発現を認めた。一方、Notch4に関しては、上記8種類の癌細胞株のなかでKATO IIIとSW480のみで発現を認めた。さらに詳細なRT-PCRを行ったところ、アンキリンリピートをコードする領域から3末端までのtruncatedな発現であることが判明した。この結果からNotch4遺伝子の変異が胃・大腸における癌化に関与している可能性が考えられた。 さらにNotch遺伝子が分化制御に関与しているか検討するために、第1段階として上記8種類の癌細胞株を用いて分化マーカーとなりうる遺伝子cdx1、cdx2、sox2、muc1、muc2、muc5acに関してRT-PCRレベルでのmRNA発現パネルを作製した。次に第2段階として比較的分化傾向のあるAGSとNotch4遺伝子のtruncatedな発現がみられた未分化傾向にあるKATO IIIを用いて、1nM Sodium butyrateを添加した培地で分化誘導モデルの作製を行っている。分化誘導モデルが確立させたのちに、上述した分化マーカーパネルのパターン変化とNotch1-4遺伝子発現の変化を検討する予定である。さらにNotch遺伝子のリガンドであるDeltaやJagged関連遺伝子についても検討を加える。
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