2002 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性脂質リゾフォスファチジン酸の肝線維化における機能解明
Project/Area Number |
14570448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳瀬 幹雄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50334397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 雅裕 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (60271566)
富谷 智明 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (90227637)
池田 均 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80202422)
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Keywords | Lysophosphatidic acid / 低分子量G淡白質Rho / 肝細胞 / 肝星細胞 / Lysophospholipase D / Auto taxin |
Research Abstract |
従来より報告者らは血小板や血漿の主要な生理活性を司るとして注目されているリゾリン脂質Lysophosphatidic acid(LPA)について、その肝細胞増殖抑制および星細胞増殖・収縮・遊走促進等多彩な作用を報告してきた。近年LPAに特異的なG蛋白質共役受容体リガンドの発見や、非血小板由来LPA産生経路に関する知見が相次いでおり、今回報告者らは、肝線維化におけるLPAの役割を解明することを念頭に、肝細胞および星細胞におけるLPAの作用機序に関し検討した。その結果、(1)肝細胞と星細胞の細胞種の違い、あるいはそれらの培養経過の違いにおいてLPA受容体発現に相違がみられたこと。(2)LPAの両細胞における生理活性作用がこれら受容体を介し、またその機序にいずれも低分子量G蛋白質Rhoが関与すること。(3)血液中のLysophosphatidylcholine(LPC)よりLPAを産生するLysophospholipaseDと判明した、腫瘍遊走因子Autotaxinの発現がこれら肝構成細胞にみとめられること。等を見出した(第39回日本肝臓学会総会発表予定)。LPCの主要な産生部位が肝臓であることを鑑みると、LPAが肝障害局所において、血小板の活性化による放出、あるいは肝での産生後血液中に放出されるLPCからの産生を介し、肝線維化促進的に、あるいは肝再生抑制的にはたらく可能性が想定され、更なる仮説として検討に値すると考えている。
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