2003 Fiscal Year Annual Research Report
IL-7/IL-7レセプターネットワークを介した腸管免疫制御の分子機構解明
Project/Area Number |
14570453
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70265809)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 みゆき 東京医科歯科大学, 大学院・歯学総合研究科, 教授 (90255654)
金井 隆典 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40245478)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
鍔田 武志 東京医科歯科大学, 難病疾患研究所, 教授 (80197756)
石川 博通 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (20051667)
|
Keywords | IL-7 / IL-7レセプター / 腸管免疫 / 腸管上皮細胞 / 転写制御 / 慢性大腸炎 / Interferon Regulatory Factor-1 / Interferon Regulatory Factor-2 |
Research Abstract |
本研究は、我々のグループが独自に見いだした消化管粘膜局所でのIL-7/IL-7受容体を介する免疫調節機構に関わる分子メカニズムを明らかにし、炎症性腸疾患を含むヒト疾患に対する新しい粘膜免疫制御治療法確立の理論基盤を構築することを目的とするものである。本研究では当初の研究計画に示した項目につき、下記に示すごとく大きな研究成果が得られた。 1)腸管上皮細胞によるIL-7産生機構の解析 a)ヒト腸管上皮(IEC)細胞株の解析により、IL-7産生が転写レベルで制御されることを見いだした。b)IL-7産生には遺伝子上流のIRF-E(Interferon Regulatory Factor-Element)を介する調節が重要であり、転写因子IRF-1/IRF-2がその結合蛋白であった。c)Tet-On強制発現とsiRNAノックダウン解析から、IRF-1/IRF-2の両者がIL-7産生を正に制御すると同時に、IRF-2は構成的、一方IRF-1は刺激依存性のIL-7誘導因子であることが明確になった。d)ヒト大腸組織に特徴的な分布様式でIRF-1/IRF-2が発現することより、ここに示したIL-7産生機構が生体においても重要であることが示された。以上の成果は、ヒトにおけるIL-7分泌の調節機構を初めて示す知見であると同時に、IRF-1/IRF-2の新しい協調機構を提示するものでもある。また、IRF蛋白機能を人為的に制御することにより腸管上皮によるIL-7産生を調節しうる可能性が示され、慢性大腸炎の新規治療法開発の基盤となる可能性が示された。 2)IL-7受容体を介した粘膜リンパ球増殖機構と腸炎発症 IL-7受容体を介する細胞刺激が粘膜リンパ球、特に慢性大腸炎局所における粘膜リンパ球に対し強い増殖活性を有することを見いだした。また実際、IL-7の投与がモデルマウスにおける大腸炎を増悪すること、逆にIL-7強発現細胞を毒素結合抗IL-7レセプター抗体で選択的に傷害することにより大腸炎が改善することを明確にした。これらより、IECより産生されるIL-7がヒトにおける大腸炎の発症に密接に関わる可能性を示すとともに、IL-7レセプター高発現粘膜リンパ球がヒト炎症性腸疾患の新規治療標的となりうる可能性を明確にした。
|
Research Products
(1 results)