2002 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の進展度診断に役立つ血清マーカー測定法の開発と応用
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14570481
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大曲 勝久 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (90244045)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / 抗ミトコンドリア抗体 / ELISA法) / Western blotting |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)の診断は、肝組織所見と抗ミトコンドリア抗体(AMA)によって行われる。肝生検は全く安全な検査というわけではなく、また頻回に施行できるわけではない。もし感度や疾患特異性が非常に高く、かつ測定が簡便迅速でより客観性のあるAMA測定法があれば、侵襲的な肝生検にとってかわる"gold standard"になりうるが、現在行われている種々の測定法にはそれぞれ利点と欠点があり感度や疾患特異性も多少異なっている。われわれは最近開発されたMESA CUP-2テスト ミトコンドリアM2キットを用いたELISA法「抗ミトコンドリアM2抗体」と従来の測定法との比較を含めて、その特徴と臨床的意義について検討した。AMA関連抗体の対応抗原のうちPBCに特異的であるのはM2抗原であり、2-oxo-acid dehydrogenase complex (2OADC)という酵素群である。2-OADCはpyruvate dehydrogenase complex (PDC), 2-oxoglutarate dehydrogenase complex (OGDC),およびbranched chain oxo-acid dehydrogenase complex (BCOADC)からなり、それぞれE1,E2,E3のsubunitから構成されている。さらにPDC-E1とBCOADC-E1はE1αとE1β、またPDCにはE3 binding protein (E3 BP)が存在する。このうちPDC-E2が最も主要な対応抗原である。 現在保険で認められている測定法は蛍光抗体間接法による「抗ミトコンドリア抗体」とELISA法による「抗ミトコンドリアM2抗体」である。蛍光抗体間接法は一度にすべての2-OADC酵素群に対する反応を検出するためPBCでは高頻度かつ高力価に検出されるstandardな検査法である。しかし、本邦における全国調査での陽性率は約85%であり白色人種と比べてやや低い傾向がある。ELISA法は従来精製PDCを固相抗原としてPDCおよび交差反応性を有するE3 BPに対するIgGクラスの抗体のみを測定(MESA CUP ミトコンドリアM2)していたためさらに感度が低い事が問題であった。平成14年4月より使用されるようになった新しいELISA法(MESA CUP-2 テスト ミトコンドリアM2)では、リコンビナントのPDC-E2、BCOADC-E2、OGDC-E2を固相抗原として用い、さらに標識抗体として抗ヒトイムノグロブリン抗体を使用しIgGだけでなくIgM、IgAクラスの抗体も測定できるようになったため、感度が格段に上昇した。われわれの検討でも蛍光抗体間接法による「抗ミトコンドリア抗体」に匹敵する感度を示したが、なお82例中6例の結果が不一致であった。今後はこの新しい「抗ミトコンドリアM2抗体」が蛍光抗体間接法による「抗ミトコンドリア抗体」にとってかわる新しい"standard"になりうるのか、疾患特異性の検討も含めてさらなる評価が必要であり、その特異性も含めて検討をすすめている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kadokawa Y, Omagari K, et al.: "Evaluation of newly developed ELISA using "MESACUP-2 Test Mitochondrial M2" kit for the diagnosis of primary biliary cirrhosis"Clinical Biochemistry. 36巻(in press). (2003)