2003 Fiscal Year Annual Research Report
消化管の細胞膜結合EGFリガンド群の放出に働く分子機構
Project/Area Number |
14570489
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
佐々木 誠人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70360873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 繁樹 愛媛大学, 医学部, 教授 (60202272)
城 卓志 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30231369)
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Keywords | GPCR / ADAM / siRNA / 炎症性サイトカイン |
Research Abstract |
【目的】我々は、これまでGPCRのアゴニストであるIL-8が膜結合メタロプロテアーゼ(ADAM)の活性化を介してEGF受容体をリン酸化することを報告した。今回は、GPCRのアゴニストでないIL-1βも胃癌細胞のEGFRをリン酸化することを確認し、IL-8がどのADAMを介してEGFRをリン酸化するかを明らかにし、胃炎の病態に重要なサイトカイン(IL-1βとIL-8)によるEGFRの活性化機序の多様性を検討した。【方法】実験にはKATOIII細胞を用い、1-20ng/mlのIL-1βとIL-8で刺激した。EGFRの活性化はWestern blotで検討した。ADAM阻害は、KB-R7785を用いた。細胞膜から遊離されるEGFリガンドの定量のため、耐熱性アルカリフォスフアターゼで標識したHB-EGF、AR、TGF-α前駆体の発現ベクターを調整し、これらを発現する細胞株を作製した。IL-1βとIL-8によるEGFリガンドが遊離されるメカニズムを解析した。siRNAにて、内因性ADAM10,12,17を欠失させ、IL-8によるEGFRリン酸化の有無を検討した。【結果】IL-1βでは刺激後、5分から4時間以上にわたる持続的なEGFRのリン酸化が見られたが、IL-8では一過性のリン酸化が見られた。EGFリガンドは、IL-1βとIL-8のいずれでも容量依存的にEGFリガンドを放出した。KB-R7785は、IL-8によるEGFリガンド放出とEGFRの活性化を阻害できたが、IL-1β刺激時は、阻害しなかった。ADAM10の欠失により、IL-8の刺激によるEGFRのリン酸化が抑制された。【結論】1.IL-1βとIL-8は、いずれもKATOIII細胞よりEGFリガンドを放出し、EGFRを活性化する。2.IL-1βは、IL-8と異なるADAM以外の因子を介しEGFリガンドを放出する。3.ADAM10がIL-8によるEGFRリン酸化に関与する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 谷田諭史, 城 卓志, 他: "炎症性サイトカインによるEGF受容体を介した胃粘膜上皮細胞増殖機構"Ulcer Research. 30(2). 153-155 (2003)
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[Publications] 谷田諭史, 城 卓志, 他: "炎症性サイトカインによる胃上皮細胞EGF受容体リン酸化機序の多様性"Progress in Medicine. 23. 2212-2215 (2003)