2003 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌発生・進展におけるCOX-2蛋白の役割と化学予防における意義
Project/Area Number |
14570494
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小西 英幸 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30295670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 昌男 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (70326221)
|
Keywords | 大腸腫瘍 / COX-2 / 化学予防 |
Research Abstract |
本研究の目的は、大腸癌発生・進展のメカニズムならびに非ステロイド系抗炎症剤、中でもCOX2選択的阻害剤の有する大腸癌発生予防の作用機序を明らかにすることであり、本邦における早期大腸癌症例を用いてCOX2蛋白の発現状況を調べ、腫瘍の表現型と遺伝子学的相違を検討している。 まず早期大腸癌の中で、リンパ節転移陽性を示すものと示さないものの病理学的特徴を鑑別し、その詳細を論文発表した(T Shimomura, et al.New indication for endoscopic treatment of colorectal carcinoma with submucosal invasion.J Gastroenterol Hepatol 19:48-55,2004)。さらにこれらのパラフィン包埋標本を用いて、同一症例から正常部・癌部(表層部と深層部・腫瘍先進部)また腺腫部を鑑別同定し、局在を重視して下記の検討を行った。 昨年度に引き続き、大腸腫瘍におけるCOX2蛋白の発現を免疫組織化学で検討し、腫瘍部においてCOX2蛋白は瞳瘍細胞および間質細胞でup-regulateされていることを確認した。さらにCOX2蛋白の発現とアポトーシスおよび細胞増殖活性の関連を検討し、アポトーシスのdysregulationの有無を確認できた。また、COX2蛋白の発現とアポトーシスの間には腫瘍先進部においてのみ負の相関が認められた。さらに、COX2蛋白とVEGF蛋白および腫瘍内血管密度の間に密な相関を認めたため、これが腫瘍進展の一因となっていると考え、その機序について追加検討をしている。 また当施設が、全身の悪性リンパ腫に対して開発した組織FISH法を消化管組織切片に応用し、loss of heterozygosity(LOH)の解析を行い、そのpreliminary dataをAACR-JCA joint meetingで発表したが、さらにこれを大腸癌症例に応用しているところである。 最後に、研究代表者が米国で施行していた大腸腺管分離を用いた検討を正常と腺腫に応用した結果を、平成16年5月の米国消化器病週間で発表予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] T.Shimomura: "New indication for endoscopic treatment of colorectal carcinoma with submucosal invasion."J.Gastroenterol.Hepatol.. 19. 48-55 (2004)
-
[Publications] S.Imamura: "Vector potential of cockroaches for Helicobacter pylori infection."Am.J.Gastroenterol.. 98. 1500-1503 (2003)