2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝アポトーシスでのミトコンドリアを介したカスパーゼ活性化―IAPとSmacの役割
Project/Area Number |
14570503
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
名越 澄子 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50306271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 助教授 (80202406)
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Keywords | アポトーシス / IAP(inhibitor of apoptosis protein) / TNF / Smac(second mitochondria-derived activator of caspase) / 肝細胞 |
Research Abstract |
肝細胞がアポトーシスに陥る際には、ミトコンドリアが放出するチトクロームcを介したカスパーゼの活性化が中心となる。この活性化カスパーゼはIAPと結合すると不活化されるが、チトクロームcと共に放出されるSmacがIAPと結合するとIAPはカスパーゼとの結合能を失うことが報告されている。一方、TNFにはアポトーシス誘導作用と抑制作用が存在するが、後者の機序は不明である。本研究者は、平成11〜12年度基盤研究(C)(2)において、TNFをマウスに単独投与するとIAPの肝での発現が増強して肝細胞のアポトーシスは起きないが、これにd-galactosamineを前投与しておくと、TNFによって増強されるIAPの発現は有意に抑制され、肝細胞のアポトーシスと広範な肝壊死が起ることを報告した。今回は、肝でのアポトーシスとサバイバルのシグナルクロストークにおけるSmacとIAPの役割を明らかにする目的で、マウス正常肝細胞株におけるIAPの動態と両者の相互作用を検討した。 1)TNFを培地に添加すると、その3時間後からIAPに属するIAP-1、IAP-2及びXIAPの細胞内mRNA量はTNF添加量に依存して増加した。Actinomycin D (Act D)をTNF添加30分前に添加しておくと、各IAPの発現はmRNA及び蛋白レベルにおいて夫々TNF添加12時間後及び24時間後で、TNFのみを添加した場合に比べ抑制された。また、カスパーゼ3活性はTNFのみ添加しても変わらなかったが、Act Dを前添加するとTNF添加6時間後より上昇した。 2)Smacをリポフェクションした細胞では対照細胞に比べ、TNFのみ添加後12時間目においてカスパーゼ3活性が有意に高かった。IAPのアポトーシス抑制作用をSmacが弱めた結果と考えられた。 IAPの発現低下が肝細胞アポトーシスの発生要因として一義的意義をもつ可能性がある。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nagoshi S., Yoshimoto T., Mochida S., Fujiwara K.: "Inhibitor of Apoptosis Protein-1 and -2 May Protect Hepatocytes from Apoptosis Induced by Tumor Necrosis Factor-Alpha in Mice."Hepatology. 38. 580A (2003)