2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子ターゲッティングによるマウス自己免疫性肝炎モデルの作製
Project/Area Number |
14570523
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
奥村 明彦 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70288512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
各務 伸一 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10115545)
石川 哲也 愛知医科大学, 医学部, 講師 (10288508)
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Keywords | 自己免疫性肝炎 / マウスモデル / CYP2D6 / ベクター / 特異的免疫応答 / 肝障害 / 抗体産生 |
Research Abstract |
【目的】Peripheral toleranceの機序を考えた自己免疫性肝炎のマウスモデルを作製することを目的とした。 【方法】II型自己免疫性肝炎の対応抗原であるcytochrome P450 IID6(CYP2D6)遺伝子をCMVプロモーターの下流に組み込んだCYP2D6/pCDNA3.1ベクターを作製し、異なる2つのstrainのマウス(Balb/c, C57BL/6)の下肢筋肉内にCYP2D6/pCDNA3.1を接種した。血清中のALT値を接種後5週間まで経時的に観察し、屠殺後に下肢筋肉内におけるCYP2D6の発現をウエスタンブロット法にて確認すると同時に肝臓の組織像を検討した。また、血清中の抗CYP2D6抗体、抗原特異的幼若化反応の解析により、特異的免疫応答の誘導の有無について検討した。 【結果】CYP2D6/pCDNA3.1を接種したマウスの筋肉内にはCYP2D6蛋白の発現がウエスタンブロツト法にて確認された。両strainともALT値については有意な上昇が認められなかったが、肝組織内にグ鞘内への炎症細胞浸潤とfocal necrosisを散見した。C57BL/6に比べBalb/cマウスにおいてより強い肝障害を認めた。CYP2D6/pCDNA3.1を接種したC57BL/6マウスの血清中にはCYP2D6に対する抗体産生を認めたが、Balb/cでは明らかな抗体産生を認めなかった。CYP2D6に対する幼若化反応は両strainともCYP2D6/pCDNA3.1を接種した群おいて亢進していた。 【結果および考察】両strainのマウスにおいてCYP2D6特異的免疫応答により肝炎が惹起された可能性が示された。肝障害の程度や抗体産生において両Strain間で相違が認められたことから、遺伝的背景因子の相違により誘導される肝障害にも差異が生じることが示唆された。
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