2003 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変モデル動物を用いた慢性閉塞性肺疾患の発症・進展の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
14570538
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須賀 達夫 群馬大学, 医学部, 助手 (50334115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60207975)
倉林 正彦 群馬大学, 医学部, 教授 (00215047)
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患(COPD) / COPDモデル動物 / klotho遺伝子変異マウス / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.COPDモデル動物を用いたCOPD治療の可能性の検討 klotho遺伝子ホモ欠損(KL-/-)マウスは、同遺伝子の転写調節領域が破壊されたことによりその発現が著しく減少している。本マウスを0.1%低リン食で飼育するとklotho遺伝子の発現が回復する(Morishita K et al.J Nutr 131:3182-3188,2001.)。この系を用いて、KL-/-マウスに出生後にklotho遺伝子を発現させることにより肺気腫発症の予防・治療が可能か否かを検討した。 KL-/-マウスは1.0%リン含有通常食では生後4週齢で形態学的に肺気腫が明らかとなる。ところが3週齢から低リン食で飼育されたKL-/-マウスは、5週齢になっても肺気腫は軽度で肺胞の破壊の程度は野生型マウスと同等であった。一方、5週齢から4週間低リン食で飼育されたKL-/-マウスの肺には著しい肺気腫がみられ、通常食を与えたものと差を認めなかった。 以上より、KL-/-マウスでは肺気腫発症前からklotho遺伝子を発現させることにより肺気腫の発症予防が可能であり、COPD治療の可能性が示唆された。 2.COPD関連遺伝子群のヒト肺組織における発現の検討 前年度、DNAマイクロアレイ法を用いてKL-/-マウスと野生型マウスの肺で発現の差を認める遺伝子をピックアップした。これらの遺伝子はCOPDの病態に関連している重要な遺伝子である可能性が高く、ヒト肺組織において発現を検討すべき遺伝子群と考えられた。 3.COPD関連遺伝子の多型とCOPDの発症との関連の解析 ヒトklotho遺伝子の塩基配列を解読するためのプライマーセットを設計した。これによりklotho遺伝子の多型とCOPD患者の臨床像との関連を解析することが可能になった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 須賀 達夫: "老化モデルマウス(klothoマウス)と肺気腫"AnnualReview呼吸器2002. 43-51 (2002)
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[Publications] 須賀 達夫: "動物モデルにおける実験的肺気腫"現代医療. 34・9. 69-73 (2002)
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[Publications] 須賀 達夫: "klotho遺伝子異常と肺気腫、呼吸器疾患関連遺伝子異常"分子呼吸器病. 7・6. 11-13 (2003)