2002 Fiscal Year Annual Research Report
CD100欠損マウスを用いた肺炎症におけるリンパ球セマフォリン分子CD100の関与の検討
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14570549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
立花 功 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60324761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合屋 将 大阪大学, 医学部附属病院, 医員(臨床研究)
大崎 匡 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50324778)
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Keywords | セマフォリン / CD100 / Sema4D / ノックアウトマウス / アレルギー性気道炎症 / 気道過敏症 / Th2反応 / 免疫寛容 |
Research Abstract |
免疫システムにおいて機能することが最初に明らかになったセマフォリンCD100(Sema4D)の、アレルギー性気道炎症における役割を明らかにする目的で、CD100欠損マウスを用いてニワトリ卵白アルブミン(OVA)による気管支喘息モデルを作製した。作製はOVAを腹腔内投与に引き続き吸入させるという方法によった。CD100欠損マウスでは野生型マウスに比べて気道への好酸球を中心とした炎症細胞の浸潤が増強しており、その結果としてメサコリンに対する気道過敏性も亢進していた。肺局所における炎症は増強していた一方、CD100欠損マウスの牌臓CD4陽性細胞の抗原(OVA)刺激に対する増殖能は野生型に比べ低下しており、OVA特異的血清IgEの産生も増加していなかった。また気管支周囲リンパ節細胞をOVA存在下で培養し、培養上清中のサイトカインを測定したところ、Th2サイトカインの産生はCD100欠損マウスにおいて低下していた。これらの結果は、CD100欠損マウスでは吸入抗原に対してTh2反応が強く誘導されるためではなく、過剰な免疫反応を抑制しようとする機構がうまく機能しないためにアレルギー性気道炎症が増強することを示唆した。これを支持する所見として、前述の気管支周囲リンパ節細胞の培養上清では、気道炎症に対し抑制的にはたらくIL-10の産生はCD100欠損マウスで低下していた。また前もって抗原を気道粘膜に曝露させておくと、全身性の感作が成立しにくくなることが知られている(nasal tolerance)が、CD100欠損マウスではこの現象が起こらない。これらの結果より、正常な気道(粘膜)においては病原性のない抗原に対して免疫寛容を誘導し、不要な炎症から生体を防御する機構が存在すると考えられるが、その機構においてCD100/Sema4Dが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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