2002 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌に対する樹状細胞療法と血管新生抑制の統合的治療法の開発研究
Project/Area Number |
14570554
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中西 洋一 九州大学, 医学研究院, 助教授 (20172356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出水 みいる 九州大学, 医学研究院, 助手 (60336021)
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Keywords | 樹状細胞 / VEGF / 遺伝子導入 / アデノウィルス / VEGF受容体 / 肺癌 |
Research Abstract |
従来より、樹状細胞への遺伝子導入は困難であるとの報告があった。まず樹状細胞に対する遺伝子導入効率について検討を加えた。あらたなリポフェクションシステムの採用下において、アデノウイルスベクターを用いたLacZ遺伝子は100moi以上の高濃度の感染で約90%の樹状細胞に導入可能であることがβ-gal assayにて判明した。また可溶性VEGF受容体遺伝子に関しても感染濃度が100moiでは、蛍光顕微鏡にて90%以上の樹状細胞が可溶性VEGF受容体を産生しており、ELISA法で測定したその分泌量も十分に認められた。 そこで、実際に可溶性VEGF受容体遺伝子を樹状細胞に導入し、得られた遺伝子導入樹状細胞の機能について検討を行った。樹状細胞は骨髄細胞から分化誘導されるが、VEGF添加培地においては樹状細胞への分化が抑制され、MTT assayにてVEGF非添加時と比較して40%程度にまで誘導される樹状細胞数は減少する。また、誘導された樹状細胞の機能を測定するためにallo-MLRにて抗原提示能を検討した結果、VEGF添加により有意にT細胞増殖刺激能は低下した。さらに表面マーカーをflow cytometryで解析した結果、MHC分子,共刺激分子の発現が減弱しており、VEGFにより樹状細胞の機能は低下していることが明らかになった。一方で、樹状細胞に可溶性VEGF受容体遺伝子を導入すると、VEGFを添加しても上述した分化誘導能の低下及び機能低下は阻害され、成熟し抗原提示能を十分に保持した樹状細胞が得られる結果となった。すなわち、VEGFに対する抵抗性を誘導することができた。 現在、上記の結果を踏まえて可溶性VEGF受容体遺伝子導入樹状細胞が、生体内においてもVEGFの作用を阻害しうるか、さらにVEGF高産生腫瘍に対しても十分な抗腫瘍効果を誘導できるかを検討中である。
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