2002 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚機能低下防御機構と末梢・中枢連関に関する臨床神経生理学的研究
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14570575
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 千恵子 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
尾崎 勇 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (90241463)
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Keywords | 脳磁場計測 / 大脳聴覚野 / 錐体細胞 / 等価電流双極子 / 水平線維 / 伝導速度 |
Research Abstract |
Mechanoreceptor刺激による皮質反応誘発のテクニカルな問題を検討するため、コペンハーゲン大学臨床生理学研究室を訪問し、同研究室で開発した刺激装置によって0.5〜1μVの微小神経電位記録に成功した。皮質反応記録は刺激装置のノイズのために明瞭な記録ができず、記録条件の安定性に問題があることが判明した。ノイズ除去が今後の課題と考えられた。一方、体性感覚系機能低下防御機構のメカニズムとして大脳皮質の可塑性、あるいは限られた感覚情報を隣接した大脳感覚受容野共有することによる機能維持機構の存在が考えられるので、これまで我々の研究室で実験方法がほぼ確立している脳磁場計測装置を用いた聴覚処理の研究を進めた。その結果、聴覚処理においてははじめにインパルスが到達した大脳皮質1次中枢から皮質錐体細胞横線維を経由して周辺の関連皮質に情報の共有プロセスが生じることを確認した。すなわち、204チャネル全頭型脳磁計をもちいて持続時間50msのトーンピップを400Hz,4000Hzで呈示し、健常成人で聴覚誘発磁界の初期反応に関する等価電流双極子を解析したところ、初期聴覚誘発反応増大時に等価電流双極子が外側に移動する現象が記録された。この移動の方向はsupratemporal cortexの表面に平行しており、聴覚野錐体細胞の水平線維を介した近接皮質へのインパルス伝播を反映した現象と考えて矛盾しない。この双極子の30ms内での移動距離(平均、標準偏差)は左半球が11.8±5.0mm、右半球では9.0±3.9mmであった。この結果から、ヒト大脳皮質錐体細胞水平線維の伝導速度は0.3〜0.4m/secと推定された。感覚神経刺激による一次感覚皮質双極子も同様の水平性移動が報告されているので、隣接皮質による情報共有機構が感覚系の機能保持のための構造として機能していることが推察される。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Baba M: "Hyperesthesia : an earliest manifestation of diabetic polyneuropathy"Internal Medicine. 41. 1079-1080 (2002)
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[Publications] Ozaki I, et al.: "Dynamic anterolateral movement of auditory N100m dipoles reflects activation of isofrequency bands through horizontal fibers"Biomagnetism. 13. 104-106 (2002)
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[Publications] Hattori N, et al.: "Demyelinating and axonal features of Charcot-Marie-Tooth disease with mutations of myelin-related proteins(PMP22, MPZ and Cx32)"Brain. 126. 134-151 (2003)
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[Publications] 小森哲夫, 馬場正之: "筋萎縮性側索硬化症の電気診断ガイド"臨床神経生理学. 30. 451-460 (2002)
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[Publications] 馬場正之: "糖尿病性神経障害の病態と診断"臨床医. 28. 1944-1947 (2002)
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[Publications] 馬場正之: "神経伝導検査のpitfallと所見解釈上の問題点"脳の科学. 25. 81-87 (2003)
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[Publications] 馬場正之: "内科学 第8版:電気生理学検査"朝倉書店、東京. 10 (2003)