2003 Fiscal Year Annual Research Report
体性感覚機能低下防御機構と末梢・中枢連関に関する臨床神経生理学的研究
Project/Area Number |
14570575
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
馬場 正之 弘前大学, 医学部, 助教授 (90106849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田野崎 真人 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (90332379)
尾崎 勇 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (90241463)
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Keywords | 聴覚皮質 / 脳磁図 / 臨床神経生理学 / 神経虚血 / 神経伝導ブロック / ワーラー変性 |
Research Abstract |
1.大脳皮質における感覚受容の水平性伝播 末梢感覚器からの感覚情報中枢処理機構を知る手がかりとして、ヒト聴覚誘発磁界を記録し、ヒト聴覚皮質における音再現地図(tonotopy)と等周波数帯(isofrequency band)の形態を検討した。その結果、tonotopyでは左右半球ともに400Hz音刺激に対して外側、4000Hz刺激に対しては内側にダイポールが再現された。右半球におけるtonotopyの存在に加え、左半球においても周波数による反応部位に差異のあることが判明した。等周波数帯の形態に関して、N100mピーク前ダイポールが大脳皮質の表面に沿って1msecごとに前外方に移動する現象が明瞭に記録された。このようなダイナミックなダイポール移動は、ヒト体性感覚野のN20m成分でも確認され、皮質3b野錐体細胞の水平線維(軸索側枝)によるインパルス伝播を示す現象と考えられ、ヒト大脳皮質が持つ重要な機能分析機構の存在が明らかになった。 2.末梢神経伝導の虚血性変化 糖尿病性神経障害の治療抵抗性には、慢性的に存在する虚血負荷による可能性がある。そこで、ラットの腹部大動脈、総腸骨動脈等にマイクロクリップを一定時間装着後に撤去する技術を用いて、末梢神経伝導機能に対する阻血および再灌流の効果を検討した。その結果、健常ラットでは3時間に及ぶ阻血負荷後の再灌流でも神経伝導が10分以内に迅速に回復しうることを確認した。それに対し、糖尿病ラット神経においては1時間15分阻血でも伝導回復が遅延し、1時間30分を越える阻血負荷では回復不能となって、組織学的にワーラー変性過程に陥ることを見出した。この実験によって、糖尿病性神経障害における末梢神経の脆弱性を明確に規定できるようになったとともに、今後の治療研究の方向性も示すことができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ozaki I, Suzuki Y, Jin CY, Baba M, et al.: "Dynamic movement of N100 dipoles in evoked magnetic field reflects sequential activation of isofrequency bands in human auditory cortex"Clinical Neurophysiology. 114. 1681-1688 (2003)
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[Publications] Sugimoto K, Baba M, Suda T, et al.: "Peripheral nerve electrophysiology and morphology in a rat model of insulinoma"Diabetes Metab Res Rev. 19. 392-400 (2003)
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[Publications] Susuki K, Nishimoto Y, Yamada M, Baba M, et al.: "Acute motor axonal neuropathy rabbit model"Annals of Neurology. 54. 383-388 (2003)
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[Publications] Nishie M, Tomiyama M, Kamijo M, Tanosaki M, Baba M: "Acute cholesystitis and duodenitis associated with Churg-Straus syndrome"Hepatogastroentelology. 50. 998-1002 (2003)
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[Publications] 馬場正之: "慢性炎症性脱髄性神経炎の病態と診断基準"神経研究の進歩. 47. 501-511 (2003)
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[Publications] 馬場正之, 額田均 ほか: "糖尿病神経の虚血に対する抵抗性および再灌流に対する脆弱性・易障害性"日本糖尿病動物研究会誌. 17. 25-26 (2003)