2003 Fiscal Year Annual Research Report
αシヌクレイノパチーの分子病態機構:新規結合蛋白が封入体形成に果たす役割
Project/Area Number |
14570576
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
若林 孝一 弘前大学, 医学部, 教授 (50240768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 誠彦 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (40311542)
今泉 忠淳 弘前大学, 医学部, 助手 (90232602)
森 文秋 弘前大学, 医学部, 講師 (60200383)
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Keywords | αシヌクレイン / シンフィリン / パーキンソン病 / レビー小体 / 多系統萎縮症 / βシヌクレイン |
Research Abstract |
本年度はαシヌクレイノパチー(パーキンソン病、Lewy小体型痴呆、多系統萎縮症)脳におけるαシヌクレインの細胞内蓄積機構に焦点を当て、免疫組織化学的、電顕的検討を行なった。対象として、パーキンソン病10例、Lewy小体型痴呆7例、多系統萎縮症10例、タウオパチー9例、正常対照10例の剖検脳組織を用いた。各例のホルマリン固定小脳からパラフィン切片を作成。通常の組織学的検索に加え、αシヌクレイン特異抗体を用い免疫染色した。パーキンソン病およびレビー小体型痴呆では全例で小脳皮質ならびに白質に円形のαシヌクレイン陽性封入体が認められた。一方、多系統萎縮症、タウオパチーおよび正常対照ではそのような構造物は認められなかった。皮質ならびに白質に認められた封入体の約70-80%がcalbindin-D陽性の突起内に形成されており、これらはプルキンエ細胞の樹状突起および軸索であると考えられた。免疫電顕ではαシヌクレイン陽性封入体は径15-20nmの顆粒線維状構造物から成っていた。以上から、パーキンソン病およびLewy小体型痴呆ではプルキンエ細胞も侵されることが明らかにされた。 次にαシヌクレインの相同蛋白であるβシヌクレインの機能の一端を明らかにする目的から、αおよびβシヌクレインに対する特異抗体を用い多系統萎縮症5例の免疫組織化学的検討を行なった。その結果、αシヌクレイン陽性神経細胞内封入体は橋核および下オリーブ核には高頻度に認められたが、小脳プルキンエ細胞には全く認められなかった。一方、βシヌクレインはプルキンエ細胞の胞体に蓄積していたが、橋核および下オリーブ核の神経細胞体にはごくわずかにしか認められなかった。さらに、小脳顆粒細胞、篭細胞、外星細胞の細胞体にβシヌクレインの免疫原性が認められた。つまり、βシヌクレインを蓄積する神経細胞にはαシヌクレインの凝集体が生じにくいと考えられた。 さらに、in vitroにおいてglycogen synthase kinase-3βがαシヌクレイン結合蛋白であるシンフィリンをリン酸化することを報告した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tanji et al.: "Glycogen synthase kinase-3β phosphorylates synphilin-1 in vitro"Neuropathology. 23(3). 205-208 (2003)
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[Publications] Mori et al.: "α-Synuclein, accumulates in Purkinje cells in Lewy body disease but not in multiple system atrophy"J Neuropathol Exp Neurol. 62(8). 812-819 (2003)
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[Publications] Mori et al.: "Reciprocal accumulation of β-synuclein in α-synuclein lesions in multiple system atrophy"Neuroreport. 14(14). 1783-1786 (2003)