2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経・グリア・筋内異常線維形成の各形成段階に関与する蛋白質の探索研究
Project/Area Number |
14570600
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片山 禎夫 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00211160)
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Keywords | 異常線維形成 / 筋萎縮性側策硬化症 / 進行性核上性麻痺 / 多系統萎縮症 / p62蛋白質 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / 神経細胞 / オリゴデンドロサイト |
Research Abstract |
弧発性筋萎縮性側策硬化症(sALS)、痴呆を伴う運動神経疾患(MNDD)、下位運動神経疾患(LMND)の3弧発性運動神経疾患(MND)の脊髄において、(1)運動神経細胞内のubiquitin(ub)陽性の異常線維構造(skein-like inclusions(SLIs))に関与している蛋白質の探索を行ったところ、p62蛋白質であることを発見した。SLIsとp62の共存は、sALSでは約6割、MNDDのほば100%、LMNDでは数%であった。これら3グループの脊髄所見は臨床病理において近似してると考えられていたが、p62蛋白質のSLIs形成関与は明らかに3グループで異なることも解った。(2)脊髄運動神経の投射経路周辺のoligodendrocyte(oligo)に異常線維が形成されていることを発見した。これらの異常線維はub陰性で、明らかに神経細胞内の異常封入体SLIsとは異なる性状でり、p62蛋白質が主な構成蛋白質であった。従来、運動神経疾患脊髄では、oligoに異常が及んでいることは証明されていなかった。P62蛋白質のN-末、C-末に対する抗体で観察したところ、sALS, MNDDともにC-末陽性が多かった。 進行性核上性麻痺(PSP)の脳内には神経、oligo内には異常リン酸化tauが異常線維を形成し、前者をNFT、後者をcoiled bodyと呼ばれている。この異常線維の形成段階を、繊維形成をGalyas-Braak法で、異常リン酸化tauをAT8抗体を用い、2重染色により、4段階に分類した。各形成段階におけるp62蛋白質の関与を調べたところ、NFT、coiled bodyともに、Stage II, IIIの成熟段階に関与していること、p62蛋白質のC-末はほとんど無く、N-末が関与していることが解った。 多系統萎縮症(MSA)の神経、oligo内にはα-synucleinが異常線維を形成している。この異常線維に関与している蛋白質を検索したところ、heparan Sulfate proteoglycan(HSPG)が発見された。HSPGは神経細胞内封入体の中でも、核内封入体にのみ共存が観察され、形成が不十分な段階で既に集積していることが解った。細胞質内における異常線維形成には明らかな集積は観察されなかった。
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