2003 Fiscal Year Annual Research Report
筋緊張性ジストロフィーの原因であるCTGリピートの延長がtauophthyに及ぼす影響
Project/Area Number |
14570608
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古谷 博和 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60253415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池添 浩二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80343317)
大八木 保政 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30301336)
吉良 潤一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40183305)
田代 康介 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (00192170)
久原 哲 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (00153320)
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Keywords | 筋強直性ジストロフィー / トリプレットリピート病 / CTGリピート / PC12 / tauopathy / cytotoxicity / flavonoid |
Research Abstract |
筋強直性ジストロフィー(DMI)は、筋力低下、筋萎縮のみならず、全身に種々の合併症を併発する。この疾患は、DM protein kinase(DMPK)遺伝子の3'非翻訳領域に存在するCTGリピートが、数百回前後延長するCTGリピート病であるが、近年、延長したリピートを含むDMPKのmRNAが核内に存在することで、自分自身の遺伝子や、同時に発現する他の遺伝子に、cis-,trans-に作用し、他の遺伝子の発現や、alternative splicingの異常をきたすと考えられている。またDM1では、中枢神経系に、tauopathyであるAlzheimer病やfrontotemporal dementia(FTD)同様に、tau蛋白の異常リン酸化が起こり、神経細胞の脱落が生じることが判明している(tauopathy)。 そこでDM1の中枢神経症状の病態を解明するために、中枢神経系の培養細胞であるPC12細胞にルシフェラーゼ(LUC)遺伝子の下流に250回のCTGリピート含むmRNAを恒常的に発現するstable cellを作成した。この細胞は(1)LUC活性を調べるだけで容易にCTGリピートのcis-効果を測定でき、(2)PC12細胞はnerve growth factor(NGF)を加えると細胞の分化が始まり細胞分裂を行わなくなるので、NGFを加えることで初めて、核内に存在するCTGリピート含むmRNAの効果を誘導することができ、(3)培地に種々の薬剤を加えて培養し、LUC活性を測定することで、容易に薬剤のスクリーニングが可能である、などの特徴を有している。 この細胞を用いて、NGFで分化誘導を行い酸化的ストレス下に置くとCTGリピートがcytotoxicに作用して、apoptosisによる神経細胞死が起こると、tau遺伝子のalternative splicingが生じる事が確認された。また、この細胞を用いて250種類のflavonoidのスクリーニングを行った所、apoptosisを防ぐと同時にcis-効果を改善する薬剤が5種類ほど見いだされた。このシステムでは、これまで唯一DM1に効果があるとされているDHEA-Sも有効である事が確認されており、今後DM1のtauopathyの病態解明や治療薬のスクリーニングを行う上で有用な実験系と考えられた。
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