2003 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の神経細胞死を抑制するヒューマニンの機能と関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
14570612
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上野 聡 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40184949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (50347548)
村田 顕也 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90264853)
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Keywords | ヒューマニン / アポトーシス / ミトコンドリア病 |
Research Abstract |
Humanin (HN)はアルツハイマー病の原因となる変異アミロイドβ蛋白による神経細胞死を、選択的に抑制するペプチドとして報告された(Nishino et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 2001:98:6336)。本研究の目的は虚血や低酸素などの非特異的外的因子あるいは他疾患によってもたらされる細胞死がHNによって抑制される可能性、すなわちHNがより広い活性スペクトラムを有することを証明することである。神経細胞死(アポトーシス)のモデルとして一般的に用いられる無血清培養下でのラット褐色細胞種(PC12)細胞において、 HNが細胞死抑制効果を発揮することを昨年度すでに報告した。本年度はこのHNの活性スペクトラムが神経系細胞に限らないこと、またヒト由来の細胞に及ぶことを証明するため、ヒトリンパ球を用いた研究を行った。その結果、無血清培養により誘導されるアポトーシスはHNにより有意に抑制された。この過程には細胞内ATP量の上昇を伴っていた。以上からHNは、アルツハイマー病のみならずATP産生能障害を来たす他疾患、例えばパーキンソン病やミトコンドリア脳筋症の治療薬としても期待される。そこで、ミトコンドリア脳筋症の代表的疾患であるMitochondrial Encephalopathy, Lactic acidosis, and Stroke-like episodes (MELAS)におけるHNの作用を検討した。ここでは容易に入手できるリンパ球を用いて、エネルギー消費を亢進させ、ミトコンドリア(Mt)DNAコピー数を増加させる環境下すなわち無血清培養を行った。予想通りMELASリンパ球はコントロールに比べて容易にアポトーシスに陥るが、HN添加によって、細胞内ATP量増加,MtDNAコピー数増加の抑制,細胞死の減少が認められた.この効果は神経芽細胞種SK-N-MC細胞、骨格筋由来のTE671細胞でも証明され、MELASの臨床的特徴であるATP要求度の高い脳および筋での機能障害がHNにより抑制される可能性が考えられる.Mt異常を有する細胞ではATP産生能が低下し、フリーラジカルの産生が克進する.アポトーシスは異常Mtを有する細胞を選択的に除去するという生体の防御機構であると同時に、細胞障害を誘発あるいは増幅して、さらなる組織障害を招来する.HNはこの悪循環を断つ、有力な治療薬候補と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shingo Kariya: "Humanin improves impaired metabolic activity and prolongs survival of serum-deprived human lymphocytes"Molecular and Cellular Biochemistry. 254・1-2. 83-89 (2003)
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[Publications] Shingo Kariya: "Humanin improves bioenergetic state of cells harboring A3243G mitochondrial DNA mutation"Annals of Neurology. 54・supple 7. S46 (2003)