2002 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン性アセチルコリン受容体発現機構と神経細胞形質・ストレス耐性との関連
Project/Area Number |
14570614
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
槍澤 公明 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00244913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 宗久 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00295974)
長根 百合子 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10306003)
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Keywords | α7nAChR / Cell cycle / Akt / ERK / DNA fragmentation / Hypoxia / Neuronal damage / PC12 |
Research Abstract |
低酸素性神経細胞障害に対するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)α7サブタイプ(α7nAChR)の抑制作用を検討した。α7nAChR過剰発現PC12細胞(α7pCMV細胞)とベクターのみ導入したPC12細胞(コントロール)を作成し、それぞれをニコチン添加群と非添加群に分け、低酸素負荷(O_2:2%,12h)を与えた。低酸素負荷後、早期から生じる細胞膜障害に対する抑制作用は、ニコチン添加α7pCMV細胞、ニコチン添加PC12細胞の順に強く、ニコチンのα7nAChRを介する作用によると考えられた。一方、遅発性に生じるDNA断片化に対する抑制作用は、ニコチン添加α7pCMV細胞、次いでニコチン非添加α7pCMV細胞の順に強く、ニコチンの作用のみではないと考えられた。α7pCMV細胞はニコチンの有無に関わらず高い神経突起伸長性、G2期比率増加を示し、増殖速度を減じた。α7遺伝子導入細胞では、α7蛋白発現とほぼ同時に、著しいextracellular-signal-regulated kinase(ERK)のリン酸化が生じ、持続した。α7nAChRの発現調節は、細胞骨格構造の変化や細胞周期調節機構と密接に関連しながら行われ、その増加は、リガンドの有無に関わらず、持続的ERKリン酸化を介し突起伸長性を亢進させる。また、α7pCMV細胞ではAkt蛋白発現増加も生じており、低酸素負荷に対するリン酸化Akt誘導が著しく、低酸素負荷後、DNA断片化に先行し生じるG1-arrestが回避された。α7nAChRによる神経細胞保護機構には、リガンドとの相互作用によるものと、自身の発現増加に伴う細胞形質変化が関与するものがあり、後者はDNA断片化を主に抑制する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Utsugisawa K, Nagane Y, Obara D, Tohgi H: "Over-expression of α7 nicotinic acetylcholine receptor prevents G1-arrest and DNA fragmentation in PC12 cells after hypoxia"J Neurochem. 81. 497-505 (2002)
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[Publications] Utsugisawa K, Nagane Y, Obara D, Tohgi H: "Over-expression of α7 nicotinic acetylcholine receptor induces sustained ERK phosphorylation and N-cadherin expression in PC12 cells"Mol Brain Res. 106. 88-93 (2002)