2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチン性アセチルコリン受容体発現機構と神経細胞形質・ストレス耐性との関連
Project/Area Number |
14570614
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
槍沢 公明 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00244913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 宗久 岩手医科大学, 医学部, 助手 (00295974)
長根 百合子 岩手医科大学, 医学部, 助手 (10306003)
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Keywords | ニコチン性アセチルコリン受容体 / α7サブタイプ / extracellular-signal-regulated kianse / protein kinase Cδ / p35 / cyclin-dependent kinase 5 / tau |
Research Abstract |
我々は、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)と神経細胞形質・ストレス耐性との関連を検討している。H14年度の本研究により、α7nAChR過剰発現PC12細胞では、α7サブユニット蛋白発現とほぼ同時に、持続的extracellular-signal-regulated kianse(ERK)のリン酸化が生じ、突起伸長性亢進、Akt蛋白発現増加とストレス耐性も誘導される事を報告した。この現象はリガンド非依存性と考えられた。 H15年度は、この現象において、(1)PKCδがどの様に関わっているか、(2)ERK活性化状態で生じると報告のある、p35-cyclin-dependent kinase 5(Cdk5)活性化やタウ蛋白リン酸化(アルツハイマー病脳で観察される病的シグナル)が誘導されるか否かについて検討した。 PKCδのdominant-negative mutant(PKCδ^<K376R>)を発現するPC12細胞を作成、このPKCδ^<K376R>発現細胞とコントロールPC12細胞に、α7cDNAを導入した。PKCδ^<K376R>細胞ではα7導入後、ERKリン酸化は持続せず、突起伸長亢進やα7nAChRの細胞膜への発現も生じなかった。α7nAChRの発現はERKリン酸化持続、神経突起伸長と並行して生じ、これらはERK/PKCδのcross-talksを必要とすると考えられた。さらに、PC12細胞では、p35の活性切断断片であるp25、Cdk5、p25-Cdk5複合体、リン酸化タウ蛋白がα7導入後増加し、これがMAPKK inhibitor添加細胞、PKCδ^<K376R>細胞において抑制された。α7nAChR導入PC12細胞ではp35/Cdk5経路、タウ蛋白リン酸化が亢進するが、これにはERK、PKCδの両者が関与すると考えられた。 α7nAChRの過剰発現はアルツハイマー病脳で観察される病的シグナルにリンクする可能性がある。ただし、これはPC12細胞を用いたin vitroの結果であり、解釈には慎重を要する(現在投稿中)。
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