2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 利之 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40236302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 厚史 東京大学, 医学部附属病院, 助手
絹川 弘一郎 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00345216)
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Keywords | 心不全 / 自然免疫 / Toll-like受容体 / 心筋細胞 / アンジオテンシンII / 胎児型遺伝子 / 肺高血圧 / 心室間相互作用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、心筋機能異常の形成ないしは遷延化過程における自然免疫の役割について、分子レベルで検討を加えることであった。特に今回の研究においては、Toll-like受容体(TLRs)の心筋細胞における発現およびそれらと心筋機能障害の関連性について検討を加えた。本年度は、心不全モデル動物としてアンジオテンシンII(A-II)皮下注入ラットモデル、およびモノクロタリン(MCT)投与肺高血圧右心不全ラットモデルの作成を行った。 1.A-II皮下注入ラットモデルの作成:成ラットに0.7mg/kg/dayのVal^5-A-IIを持続皮下注入し、心肥大ないしは心不全モデルを作成した。このモデルにおいて、胎児型遺伝子(βミオシン重鎖、心房性利尿ペプチド[ANP])の発現亢進は4週間後にも認められた(RNAse protection assay : RPA法)が、9週間後にはさらに顕著となった。 2.MCT皮下持続注入肺高血圧モデルの作成:6週齢成雄ラット(100〜130g)にMCT(60mg/kg)を皮下注入し(MCT群)、6週間後に心臓を摘出して、心筋遺伝子の発現を解析した(RPA法)。MCT群において右室重量は有意に増加し(対照群の289%)、心筋遺伝子に関しては、筋小胞体Ca^<2+>-ATPase(35%)、αミオシン重鎖(13%)の発現低下と、ANP(1100%)、脳性利尿ペプチド(BNP)(1100%)、骨格筋αアクチン(462%)、βミオシン重鎖(313%)の発現上昇が認められた。興味深いことに、筋小胞体Ca^<2+>-ATPase発現低下以外の遺伝子発現変化は、血行力学的負荷がほとんどかかっていない左室自由壁にも認められ、何らかの心室間相互作用の関与が疑われた。
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