2002 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全の病態生理における酸化ストレスの関連-心筋エネルギー学的検討-
Project/Area Number |
14570662
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高岡 秀幸 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (50294228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 宏哉 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (20346266)
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Keywords | 酸化ストレス / 交感神経系 / 心機能 / 抗酸化ビタミン / 心筋酸素消費量 / エネルギー効率 / 心不全 |
Research Abstract |
(緒言)近年、酸化ストレスがβ受容体刺激に対する心収縮性の応答を抑制しているという報告がなされ、不全心の病態生理との関連が注目されている。今回、ヒト不全心において、抗酸化薬であるVitamin Cがβ受容体刺激に対する心筋収縮反応、エネルギー効率に及ぼす効果を検討した。 (方法)発症から4週間以上経過した初回前壁心筋梗塞による心不全患者19例(年齢60±5才、左室駆出分画39士2%)を対象とした。コンダクタンスカテーテルとウエブスターカテーテルを用いて、ドブタミン投与(Dob;4μg/kg/min)前後に、収縮性指標E_<max>と左室外的仕事量(EW)を算出、冠血流量と冠動静脈酸素含量較差から一心拍あたりの心筋酸素消費量(VO_2)を測定し、機械的エネルギー効率(EW/VO_2)を求めた。10例にはVitamin C(2.Og静注後50mg/min持続投与)を追加(Vit C group)、9例には生理的食塩水を追加投与し(Control group)、同様の測定を行った。 (結果)Vit C groupにおいては、Vitamin CによりDobに対するE_<max>の反応は20±8%、EWの反応は20±5%増強され、VO_2はDob単独に比し変化しなかった結果、EW/VO_2は21±5%改善した。Control groupではDobに対するE_<max>, EW, VO_2,EW/VO_2の反応は変化しなかった。 (結論)本研究は、抗酸化ビタミンであるVitamin Cが、単独では諸指標を変化させないが、β受容体のカテコラミンに対する収縮性の反応を増強させ、心筋酸素消費量は増やさず、エネルギー効率を改善する事を明らかにした。酸化ストレスは動脈硬化のみならず、心不全の病態に重要な役割を果たしており、抗酸化ストレスは心不全の治療における新しい戦略となる可能性があるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)