2003 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全の病態生理における酸化ストレスの関連―心筋エネルギー学的検討
Project/Area Number |
14570662
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川合 宏哉 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (20346266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志手 淳也 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40362793)
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Keywords | 酸化ストレス / 交感神経 / 心機能 / 抗酸化ビタミン / 心筋酸素消費量 / エネルギー効率 / 心不全 |
Research Abstract |
(緒言)近年、不全心におけるβ受容体刺激に対する収縮反応性の低下、心筋エネルギー効率悪化の原因の一つに酸化ストレスが関与していると報告され、抗酸化薬による改善効果が期待される。今回、ヒト不全心において、2種類の抗酸化薬を用いて心収縮性と心臓エネルギー効率の変化を検討した。 (方法)発症から4週以上経過した初回前壁心筋梗塞による心不全患者24例(年齢62±3才、左室駆出分画42±1%)を対象とした。コンダクタンス法を用いて左室収縮性(E_<max>:収縮期末圧容積関係の傾き)と心筋エネルギー効率(EW/VO_2:圧容積ループから求められる左室外的仕事量と1心拍あたりの心筋酸素消費量の比)の変化を比較検討した。測定はドブタミン(Dob)4μg/kg/min持続投与下にアスコルビン酸(n=10、2.0gボーラス投与後50mg/min、10分間持続投与)、還元型グルタチオン(n=9、600mg/min、10分間投与)、の投与前後で行った。 (結果)Dob投与でE_<max>(65±12%)、EW(45±8%)、VO_2(29±7%)は増加し、心筋エネルギー効率は変化しなかった(9±7%)。アスコルビン酸の追加投与でE_<max>(22±7%)、EW(20±4%)は増加したが、VO_2は変化せず(0±3%)、エネルギー効率はDob単独投与に比し21±5%改善した(p<0.01 vs Dob)。また、グルタチオン追加投与でE_<max>(49±12%)、EW(36±7%)、VO_2(8±9%)は増加し、エネルギー効率は31±7%改善した(p<0.01 vs Dob)。 (結論)本研究は、心筋梗塞後の心不全患者において、抗酸化薬であるアスコルビン酸と還元型グルタチオンが、β受容体刺激に対する収縮性の反応を増強させ、心筋酸素消費量は増加させず、エネルギー効率を改善することを明らかにした。酸化ストレスは糖尿病、動脈硬化のみならず、心不全の病態形成に重要な役割を演じており、酸化ストレスの制御は心不全治療の新たな戦略となる可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)