2003 Fiscal Year Annual Research Report
粥状動脈硬化形成における血管新生抑制因子IP-10,Migの役割に関する研究
Project/Area Number |
14570665
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
越智 弘 島根大学, 医学部, 助手 (80204220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥井 郁子 島根大学, 医学部, 助手 (70207661)
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Keywords | IP-10 / 抗IP10抗体 / ApoE欠損マウス / 粥状動脈硬化 / 血管新生 |
Research Abstract |
ApoE欠損マウスで粥状動脈硬化形成に果たすIP-10の役割を研究するため抗マウスIP-10モノクローナル抗体(抗IP10抗体)を作成した。IP-10には血管新生抑制作用があるので最初に抗IP10抗体投与によりプラーク内の血管新生が促進されるか検討した。ApoE欠損マウスを生後10週より高コレステロール(0.3%コレステロール)食で10週間飼育し抗IP10抗体100μg(抗体群:雌3匹)またはPBS(対照群:雌3匹)を週2回4週間、腹腔内に投与した後、心臓及び大動脈を摘出、凍結切片を作成した。大動脈弁上部におけるプラーク内の新生血管を抗CD31抗体、及び抗vWF抗体を用いた免疫染色にて評価した。抗体群と対照群でともにプラークのショルダー部にわずかに新生血管を認めたが、両群間で血管新生の程度に明らかな差は認めなかった。次に粥状動脈硬化進行性病変形成に対する抗IP10抗体の効果を検討するため、生後8週より高コレステロール食を開始し10週間後から抗IP10抗体(抗体群:雌5匹)またはPBS(対照群:雌5匹)を週2回6週間腹腔内に投与した。採血後、心臓及び大動脈を摘出、凍結切片を作成した。60μm間隔で6切片を脂肪染色し動脈硬化の程度を評価するとともに抗CD31抗体を用いた免疫染色で血管新生を評価、EVG染色でプラーク内のコラーゲンの分布および程度の評価を行った。両群間で血中コレステロール値、動脈硬化の程度、新生血管の程度、プラーク内のコラーゲンの分布および程度に差は認められなかった。これらの結果から、ApoE欠損マウスにおいて、プラーク内の血管新生を含め粥状動脈硬化進行性病変の形成でIP-10は、少なくとも単独では重要な役割を果たしていないことが示唆された。粥状動脈硬化初期病変形成における抗IP10抗体の効果については現在検討中である。
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