2003 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化危険因子としてのクラミジア持続感染に関する研究
Project/Area Number |
14570668
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Research Institution | EHIME UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小原 克彦 愛媛大学, 医学部, 助教授 (30260384)
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Keywords | クラミジア・ニューモニエ / 持続感染 / 感受性遺伝子 / MTHFR / アンジオテンシノーゲン / GS蛋白αサブユニット / 一塩基多型 / 環境因子・遺伝因子相互作用 |
Research Abstract |
動脈硬化の新たな危険因子として、慢性持続性の感染が大きなリスクとなることが明らかにされ、特にクラミジア・ニューモニアに対しては、抗菌薬による治療の大規模介入試験が実施されている。クラミジア・ニューモニアは、経気道的に感染した後、血管内皮細胞への感染が起こり、局所での接着因子やケモカインの発現を介して、動脈硬化の発症・進展に深く関係すると考えられている。血中のクラミジア抗体を測定することで、臨床的にも持続感染の有無を確認することが可能であるが、急性期の感染のみで終わる場合(既感染例)も多く、持続感染に至る機序は未だ明かではない。今年度は、クラミジア・ニューモニア持続感染につながる遺伝的要因を候補遺伝子アプローチより検討した。明らかな心血管系合併症を有さない一般住民557名を対象として、クラミジアIgA, IgG抗体陽性と動脈硬化関連遺伝子であるmethylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR) C677T多型、アンジオテンシノーゲン(AGT) M235T多型、Gs蛋白αサブユニット(GNAS1) T131C多型との関連性を検討した。クラミジア抗体陽性は195名に認められ、AGT M235T多型との間に有意な関連性が認められた(x2乗11.64, P=0.003)。MTHFR, GNAS1との間には有意な相関は認められなかった。これらの結果は、クラミジア・ニューモニエの持続感染に遺伝的な要因が関連している事を示し、動脈硬化の発症・進展に存在する環境因子-遺伝因子相互作用のひとつであることを示している。この内容は、2004年度の国際学会において発表の予定であり、現在論文化中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Zhang JH, Kohara K, 他: "Genetic predisposition for the symptomatic manifestation of lacunar infarction"Cerebrovascular Diseases. (印刷中). (2004)
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[Publications] Kohara K, Fujisawa M, 他: "MTHFR Gene Polymorphism as Risk Factor for Silent Brain Infarcts and White Matter Lesions in Japanese General Population : NILS-LSA Study"Stroke. 34. 1130-1135 (2003)
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[Publications] Kohara K, Tabara Y, 他: "Comprehensive studies of carotid atherosclerosis"Geriatrics Gerontology International. 3. 12-14 (2003)
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[Publications] Jin JJ, Kohara K, 他: "Association of endothelin-1 gene variant with hypertension"Hypertension. 41. 163-167 (2003)
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[Publications] Wu Z, Kohara K, 他: "Genome-wide linkage disequilibrium mapping of hypertension in Japan"Hypertension Research. 26. 533-540 (2003)
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[Publications] Tabara Y, Kohara K, 他: "Polymorphism of MCP-1 gene is associated with plasma level of MCP-1 but not with carotid intima-media thickness"Hypertension Research. 26. 677-683 (2003)