2002 Fiscal Year Annual Research Report
圧負荷心肥大モデルにおけるリモデリングとアンジオテンシンII受容体サブタイプの意義〜AT2受容体遺伝子欠損マウスを用いた検討〜
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14570669
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩井 將 愛媛大学, 医学部, 助教授 (00184854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 医学部, 教授 (40150338)
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Keywords | 心肥大 / Aortic Banding / 冠動脈 / アンジオテンシンII受容体 / AT1受容体ブロッカー / AT2受容体欠損マウス / 心筋細胞 / 線維化 |
Research Abstract |
今年度はまずAT2受容体欠損マウスに「Aortic Banding」を施行して圧負荷心肥大モデルを作成し、形態学的変化を、時間的経過を追って観察し、野生型マウスと比較検討した。 1)マウスを麻酔下で開腹し、腹部大動脈を腎動脈の分岐部直上で30ゲージの注射針をはさんだまま結紮したのち針を取り除くことによりわずかな隙間を残し、心臓を含む上部の大動脈に圧負荷をかける「Aortic Banding」を施行した。この後、マウスを経時的に屠殺して心臓を採取し、心重量、顕微鏡下で観察される心筋細胞の断面積、冠動脈断面積、冠動脈周囲線維化面積を測定した結果、野生型マウスでは心重量の増加、心筋細胞肥大、冠動脈肥厚、冠動脈周囲線維化が認められた。AT2受容体欠損マウスにおいては、心重量の増加は野生型マウスと同様であったが、冠動脈肥厚と冠動脈周囲線維化は野生型マウスより増強していた。 2)Aortic Bandingの有無による心組織におけるAT1およびAT2受容体の発現を調べると、術後3週目前後にピークとなるように増強した。また組織局在を免疫組織染色により検討すると、AT1受容体は心筋に優位に認められたのに対して、AT2受容体は冠動脈に優位に認められた。 3)Aortic Banding後の変化におけるレニン-アンジオテンシン系の役割を明確にするため、AT1受容体ブロッカーを、浸透圧ミニポンプを用いて持続的に投与し、その影響を調べた。野生型マウスでは、AT1受容体ブロッカー投与によりAortic Banding後の心重量の増加、冠動脈肥厚、冠動脈周囲線維化が有意に抑制された。しかし、このAT1受容体ブロッカーをAT2受容体欠損マウスに投与した場合には、これらの変化が抑制されたが、その抑制効果は野生型マウスにおけるよりも有意に低下した。 これらの実験結果は、Aortic Bandingに伴う心肥大と冠動脈およびその周囲組織の変化にはアンジオテンシンII受容体が重要な役割を果たしており、特に冠動脈肥厚および冠動脈周囲線維化にはAT2受容体がAT1受容体に拮抗して抑制的に作用していることが示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Lan Wu, Masaru Iwai, Hironori Nakagami, Rui Chen, Jun Suzuki, Masahiro Akishita, Marc de Gasparo, Masatsugu Horiuchi: "Effect of AT1 receptor blockade on cardiac remodeling in AT2 receptor null mice."Arteriosclero Thromb Vascular Biol. 22. 49-54 (2002)
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[Publications] Jun Suzuki, Masaru Iwai, Hironori Nakagami, Lan Wu, Rui Chen, Takashi Sugawara, Maremori Hamada, Kunio Hiwada, Masatsugu Horiuchi: "Role of angiotensin IL-regulated apoptosis through distinct AT1 and AT2 receptors in neointimal formation."Circulation. 106. 847-853 (2002)