2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接触による血管内皮細胞の増殖停止に関わる細胞内シグナル伝達網の解明
Project/Area Number |
14570675
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 真弓 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80336031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 細胞間接着 / p27^<Kip1>遺伝子 / プロモーター領域 / 転写活性 / 増殖停止 |
Research Abstract |
p27^<Kip1>は、血管内皮細胞における細胞周期調節において重要な役割を果たす。p27^<Kip1>の発現は、内皮細胞の細胞間接触の形成に伴って亢進すること、および、内皮細胞が細胞間接触により増殖を停止することを、既に報告した。しかし、細胞間接触により引き起こされるKip1遺伝子の転写亢進の機序は、未だ不明である。これを明らかにするために、Kip1遺伝子の全長を含むクローンを分離し、翻訳開始点の上流1500bpまでのプロモーター領域を組み込み、ルシフェラーゼ・レポータープラスミドを作製した。ウシ大動脈内皮細胞にレポータープラスミドを導入した後、プロモーター活性を二重ルシフェラーゼ法で解析した。細胞間接触による転写亢進領域を検討するために、細胞間接触を誘導しないコントロールの培養系、内皮細胞同士の同種細胞間接触を誘導した系、HeLa細胞と内皮細胞との異種の細胞間接触を誘導した3つの系で、内皮細胞の転写活性を解析し、比較した。通常の培養系と異種の細胞間接触を誘導した系では、同程度の転写活性を示したのに対して、同種細胞間接触を誘導した系では、p27^<Kip1>遺伝子のプロモーター活性が増加した。このプロモーター活性の増加に必要な領域を、約180bpの領域に絞り込んだ。この増加には、内皮同士の接着分子からのシグナルの流れが必要であることが示唆された。 またHIV TAT蛋白質を利用した細胞内蛋白質導入法を確立し、内皮細胞の細胞周期調節における低分子G蛋白質の役割を検討した。RnoキナーゼのRhoA結合ドメイン、およびPAK1のRac1,Cdc42結合ドメインを、Tat蛋白質と融合させ、細胞内に導入したところ、内皮細胞のS期進行には、G1後期にRhoファミリー蛋白質の活性化が必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hirano K, Derkach DN, Hirano M, Nishimura J, Takahashi S, Kanaide H: "Transduction of the N-terminal fragments of MYPT1 enhances myofilament Ca^<2+> sensitivity in an intact coronary artery"Athersclerosis Thromb Vasc Biol. (in press).
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[Publications] Hirano K, Zeng Y, Hirano M, Nishismura J, Kanaide H: "Sequence requirement for nuclear localization and growth inhibition of p27^<Kip1R> a degradation-resistant isoform of p21^<Kip1>"J Cell Biochem. 89. 191-202 (2003)
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[Publications] Eto W, Hirano K, Hirano M, Mishimura J, Kanaide H: "Intracellular alkalinization induces Ca^<2+> influx via non-voltage-operated Ca^<2+> channels in the rat aortic smooth muscle cells"Cell Calcium. 34. 477-484 (2003)
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[Publications] Ihara E, Hirano K, Hirano M, Nishimura J, Nawata H, Kanaide H: "The mechanism of down-regulation of L-type Ca^<2+> channel in the proliferating smooth muscle cells of rat aorta"J Cell Biochem. 87. 242-251 (2002)