2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性心筋障害における細胞外マトリックス蛋白オステオポンチンの功罪の解明
Project/Area Number |
14570676
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
芦澤 直人 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10301368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 捷介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50039864)
瀬戸 信二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00136657)
河野 浩章 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30325659)
山下 俊一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30200679)
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Keywords | 高血糖 / 虚血 / 心筋障害 / 細胞外マトリックス / オステオポンチン / 心筋細胞 |
Research Abstract |
糖尿病性心筋障害の原因として、高血糖自体、あるいは高血糖に起因する多くの分子病態が寄与していると考えられている。中でも虚血が絡んだ際の心筋における細胞外マトリックス蛋白発現の変化に関する報告は少ない。本研究の目的は細胞外マトリックス蛋白の一つであるオステオポンチンに着目し、高度虚血、高血糖条件下での心筋細胞、あるいは心線維芽細胞における細胞障害にオステオポンチンがどの程度関与しているかを検討することである。 In vitroの実験において、新生仔SDラット心室筋初代培養系より心筋細胞と継代培養した3代目の心線維芽細胞を分離培養し、(1)5.5mM glucose,(2)37.5mM glucose,(3)37.5mM D-mannitol(浸透圧対照)の3群にわけて、それぞれ18%酸素(normoxia)、1%酸素(hypoxia)条件下に処理した。培養細胞よりmRNAを、conditioned mediumより蛋白を抽出し、オステオポンチンの発現レベルの相違をRT-PCR,およびWestern blotにより経時的に(2〜48時間)比較検討した。 心線維芽細胞においては、高血糖、低酸素条件下において、正常血糖、正常酸素下と比較し、蛋白、RNAレベルともに発現の相違を認めなかったが、心筋細胞においては、血糖値にかかわらず低酸素下での条件において蛋白、RNAレベルでの発現増強を認めた。 以上より、糖尿病性心筋障害の一つのメカニズムとして、心筋細胞においては、短時間の高血糖状態によるオステオポンチンの発現には影響せず、むしろ短時間の虚血においてでも、心筋障害の進行する可能性が示唆された。またオステオポンチンを指標とした検討では、心線維芽細胞は高血糖、低酸素状態に対して抵抗性を有することが示唆された。
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