2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群発症における脂肪酸代謝の役割に関する研究
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14570680
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 知浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00301375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 久雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50177135)
吉村 道博 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30264295)
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Keywords | 急性冠症候群 / 脂肪酸 / 冠血流予備能 / プラスミノゲンアクチベーターインヒビター / インスリン抵抗性 / 脂肪酸分画 |
Research Abstract |
これまで我々は、急性冠症候群患者における凝固・線溶動態についての解析をおこなってきた。その結果、冠動脈内の血栓形成が主な発症要因となる同症においては、血栓の構成因子である血小板の凝集活性が著しく亢進しており、また凝固活性も同時に亢進していることが明らかになった。冠動脈内の血栓により実際に有意な虚血を生じるためには、血栓が安定して冠動脈内に存在することが不可欠である。これには線溶系の関与が重要であり、急性冠症候群患者では線溶系の重要なコントロール因子であるPAI-1の活性が上昇しており、線溶活性が低下していることを明らかにした。PAI活性は虚血性心疾患患者の予後と密接に関連しており、PAI活性を低く保つことが予後を改善することにつながると考えられる。我々はこの目的のために急性冠症候群急性期においては、活性型プロテインC(activated protein C;APC)の静脈投与が有効であることを明らかにした。また慢性期においては、Kチャネル開口薬であるnicorandilの経口投与が有効であることを明らかにした。これらの薬物インターベンションにより虚血性心疾患患者の予後を改善することが可能となると考えられる。脂肪細胞はこのPAI-1の重要な産生組織であり、脂肪酸がPAI-1の産生を刺激することを明らかにした。肥満患者で心血管イベントの発症が多いのは、同患者に多く存在する脂肪組織からPAI-1がより多く産生されることがその原因に一つであると考えられている。一方で脂肪細胞からは抗動脈硬化作用を有するアディポネクチンも産生されることが知られている。急性心筋梗塞患者ではこのアディポネクチンが経時的に変化することが知られており、同患者における予後とアディポネクチン、PAI-1、中性脂肪、脂肪酸などの動態との関連について、今後検討を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sakamoto T: "Effect of activated protein C on plasma plasminogen activator inhibitor activity in patients with acute myocardial infarction treated with alteplase : comparison with unfractionated heparin"Journal of the American College of Cardiology. 42(8). 1389-1394 (2004)
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[Publications] Sakamoto T: "Effect of nicorandil of endogenous fibrinolytic capacity in patients with coronary artery disease"Circulation Journal. 68(3). 1389-1394 (2004)