2002 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病における心筋細胞障害の機序:アポトーシスと活性酸素種の役割
Project/Area Number |
14570681
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
米持 英俊 大分医科大学, 医学部, 助教授 (40191671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 俊男 大分医科大学, 医学部, 助手 (80169359)
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Keywords | 糖尿病 / アポトーシス / 活性酸素種 / ミトコンドリア / 心不全 / 虚血 |
Research Abstract |
糖尿病における心筋細胞障害の機序を明らかにするために、ラット心筋細胞を高血糖状態で培養した。心筋細胞のアポトーシス、ミトコンドリア内膜電位と活性酸素種の産生に及ぼす高血糖の影響を経時的に観察した。フローサイトメーターで、アポトーシスはSSC/FSC、活性酸素種はDCF、ミトコンドリア内膜電位はRh-123で評価した。高血糖下の培養で、心筋細胞のアポトーシスは徐々に減少して72時間後には正常血糖群の80%まで低下したが、その後は逆に増加して120時間後には160%に達した。この時、心筋の活性酸素種の産生は72時間まで徐々に増加し、120時間後には対照群の値に復していた。ミトコンドリア内膜電位は活性酸素種の産生と同様な経過を示した。次に、外因性の酸化ストレスの増加に対する反応性を高血糖培養72時間と120時間後で検討した。過酸化水素の添加で心筋細胞のアポトーシスは正常と高血糖の両群で増加したが、72時間後のみで高血糖群の反応性(アポトーシスの増加)が亢進していた。活性酸素種の消去剤で高血糖による心筋細胞に対する作用は抑制された。この結果から以下のことが明らかとなった。 1、高血糖はミトコンドリアでの活性酸素種の産生を増加させる。 2、高血糖で誘導された活性酸素種に暴露される時間によって心筋細胞の生死が決定される:短期間では生存に、長期間ではアポトーシスに。 3、外因性の酸化ストレスによるアポトーシスは高血糖で増強される。 この事から、糖尿病では高血糖自体でアポトーシスが起こり、心不全となる可能性を示すと共に高血糖状態ではさらに、虚血等による酸化ストレスの増加がこの病態を悪化させると考えられた。
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