2002 Fiscal Year Annual Research Report
Bcl-2 family proteinによる心筋細胞死の制御
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14570683
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
辰巳 哲也 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (20254328)
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Keywords | apoptosis / myocytes / mitochondria / Bax / Bcl-2 / cytochrome C / hypoxia |
Research Abstract |
心筋の虚血はnecrosisを導くとともにapoptosisを誘導する強力な因子である。我々は心筋細胞に低酸素化傷害を行った系を用いてBcl-2 family proteinの細胞死における役割について検討した。ラット新生仔培養心筋細胞を用いて7時問の低酸素化を行ない、Normoxia群(N群)とともに低酸素化(Hypoxia)時にTyrode液中のglucose濃度を0(H0群)、10(H10群)、20(H20群)、50(H50群)、100(H100群)mg/dlと変化させた群を作製した。心筋細胞のnecrosisはH0群、H10群、H20群で63%、43%、20%と有意に増加し、またHoe33258及びdesmin二重染色にて評価した心筋細胞のapoptosisはH20群、H50群、H100群で4%、9%、12%と有意に増加した。H100群におけるWestern Blotによる検討で低酸素化により細胞質分画でのBaxのsuperexpressionがみられ、低酸素化3時間で細胞質からミトコンドリアへの移行がみられた。またBcl-2は低酸素化3時間後よりミトコンドリアから細胞質への移行がみられた。Baxのtranslocationに引き続き、低酸素化5時間以後でJC-1染色より評価したミトコンドリア膜電位の低下とcytohrome cのミトコンドリアから細胞質への遊離がみられた。我々は低酸素化障害におけるこれらのBcl-2 family proteinの動態は細胞内アシドーシスにより強く制御されるとの仮説をたて、さらに以下の実験を行った。培養心筋細胞を用い、Tyrode液のpHをpH7.4、pH7.2、pH6.8、pH6.5と変化させることで7時間のアシドーシス刺激を行ったところ、Tyrode液のpHが低いほど心筋細胞のapoptosisは増加した。またBaxの細胞質からミトコンドリアへの移行、ミトコンドリアの膜電位の低下、及びcytochrome cのミトコンドリアからの遊離はTyrode液のpHが低いほど顕著に認められた。以上の結果より、Bcl-2 family proteinは低酸素化障害時に細胞内pHの変化に応じてミトコンドリアのPTを誘導している可能性が示唆された。
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