2003 Fiscal Year Annual Research Report
原発性免疫不全症におけるEBウイルス陽性リンパ増殖性疾患の発症機序と対処法の解明
Project/Area Number |
14570714
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡野 素彦 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50261300)
|
Keywords | 原発性免疫不全症 / EBウイルス / リンパ増殖性疾患 |
Research Abstract |
平成15年度は、インフォームド・コンセントを得た後、主に樹立早期の原発性免疫不全症(運動失調毛細血管拡張症[AT]、Wiskott-Aldrich症候群[WAS]、重症複合免疫不全症[SCID]、Common variable immunodeficiency)のEBウイルス(EBV)陽性リンパ芽球を用い1.浮遊培地における細胞増殖能、2.軟寒天培地培養法による癌原性獲得の有無、3.潜在EBV関連抗原(EBNA-1、-2、-3a、-3b、-3c、LP、LMP-1、-2a、-2b)の発現、4.染色体分析、5.各種オンコジン、癌抑制遺伝子の発現、6.細胞内増殖関連転写因子NF-κBの発現、7.抗B細胞モノクローナル抗体添加による増殖能などへの影響、8.サイトカインの発現・産生および、9.EBV特異的細胞障害性T細胞(EBV-CTL)およびNK細胞活性をサイクロスポリンA添加・非添加にて、特にインターフェロンγを中心として検討する。ことを行い、健康人との比較検討を行った。 その結果、対象とした原発性免疫不全症では、一般にEBV-CTL活性の低下が顕著でインターフェロンγ産生の低下が、ほぼ相関して認められた。ATの一部で、浮遊培地における増殖能の増加(最高濃度;2.6±0.2x10^6/ml, p<0.05)、コロニー形成率の増加(最高10.1%)を認めた。その様な細胞では、非特異的な染色体異常とともにNF-κBの発現の増加を認めた。また、オンコジンでは、その様な細胞株の一部でmyc、ras familyなどの活性化があったが一定の傾向を認めなかった。潜在EBV関連抗原は、全例で全て発現していた。抗B細胞モノクローナル抗体添加による、抗細胞増殖効果は一般に対照と差を認めなかったが、AT由来細胞の一部で抵抗性の増加をみた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Okano M: "The evolving therapeutic approaches for Epstein-Barr virus infection in immunocompetent and immunocompromised individuals"Current Drug Targets-Immune, Endocrine, Metabolic Disord. 3・2. 137-142 (2003)
-
[Publications] 岡野素彦: "免疫不全状態にある患児における抗生剤の使い方について"小児科診療Q&A. (印刷中).
-
[Publications] 茂田士郎: "EBウイルス関連疾患の診断と治療法"第10回ヘルペス感染症フォーラム. (印刷中).
-
[Publications] 岡野素彦: "重症慢性EBウイルス感染症(CAEBV)の診断指針"第10回ヘルペス感染症フォーラム. (印刷中).
-
[Publications] 岡野素彦: "原発性免疫不全症「今日の小児治療指針 第13版」"医学書院. 690 (2003)
-
[Publications] Shiramizu B: "Human immunodeficiency virus-associated non-Hodgkin lymphoma. In "Progress in AIDS research""Nova Science Publishers, Inc.(印刷中).