2002 Fiscal Year Annual Research Report
先天性好中球減少症にみられるG-CSF受容体遺伝子異常の臨床的・生物学的意義
Project/Area Number |
14570719
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三井 哲夫 山形大学, 医学部附属病院, 講師 (30270846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 貴子 山形大学, 医学部, 助手 (90312743)
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Keywords | 先天性好中球減少症 / G-CSF受容体 / 切断型遺伝子異常 / G-CSF R Tgマウス |
Research Abstract |
国内の研究協力施設で先天性好中球減少症と診断された12例でG-CSF受容体切断型遺伝子異常は1例のみに同定された。これは白血病化した細胞を含む血液細胞検体から検出された。mRNA上は切断型の異常のみ、血液細胞gDNAからは正常のアリルとヘテロに検出された。この症例で爪、髪からgDNAを抽出、これも同様に解析した所、正常のアリルのみ検出された。この他に切断型でない変異が1例、アミノ酸変異を伴わない変異1例が検出された。 切断型G-CSF R Tgマウスについては野生型のTgマウスに比してS.aureusに対して脆弱であることがわかった。また、切断型受容体Tgマウスの骨髄細胞は半固形培地において対照に比して、低濃度のG-CSF刺激に対してより多数のコロニーを形成した。液体培地においては切断型の骨髄細胞は培養1週間後により多くの細胞が生きて残存していた。また、その細胞は幼若な骨髄系の細胞が占める割合が多かった。 まだ少数例の解析であるが、日本の症例では欧米で既に報告されたものよりも切断型の遺伝子異常が検出される頻度は少ない可能性がある。また、この切断型の異常が白血病化に前後して出現する後天的な異常である可能性が示唆された。 前記のようにヒトで、切断型異常は後天的な異常である可能性が示唆されたが、Tgマウスにおいては末梢血の好中球減少に働いていた。また、in vivoの解析として感染に対する脆弱性が証明された。切断型の異常を持った骨髄細胞は低濃度のG-CSF刺激に過敏な反応を示すとともに、G-CSF刺激下でより多く生存した。また、G-CSF剌激下では骨髄系の幼若細胞が多く観られた。これらは切断型G-CSF R異常が何らかの形で白血病の発症に寄与している可能性を示している。
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Research Products
(1 results)