2003 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病血管炎の進展におけるVEGFの果たす役割とその治療戦略
Project/Area Number |
14570725
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
寺井 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80207472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 正樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50322764)
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Keywords | 川崎病 / VEGF / 低アルブミン血症 |
Research Abstract |
川崎病血管炎の初期症状として浮腫性紅斑がみられるが、川崎病を血管透過性の視点から解析した研究は現在まで行われていない。我々は、川崎病組織病変におけるVEGFとそのレセプターの発現を解析した結果、対照組織に比し,心,肺,胆嚢など全身の血管にVEGF蛋白が強く発現し(p<.001)、病初期例ではVEGFの機能的受容体KDRも発現していた。VEGF陽性の血管周囲には例外なくアルブミンなどの血漿蛋白が漏出し強い浮腫がみられ、vascular leakageの存在が示唆された。本研究では前年に引き続き、VEGFに着目し川崎病血管炎の病態からみた治療戦略を考察した. 1 Vascular leakageの進行は血漿蛋白の漏出(低アルブミン血症)と浮腫を生じる。そこで、川崎病のガンマグロブリン治療抵抗例と治療反応例の間で、浮腫の程度、血中アルブミン、血中VEGFの測定をおこない検討した。その結果、治療抵抗例では治療反応例に比し血中アルブミンの低下が強く血中VEGFが高値であった。また、治療抵抗例のなかでは、ガンマグロブリン治療前後で体重増加(浮腫)が強い例ほど、冠動脈瘤の発生率が高いことが判明した。すなわち冠動脈瘤例ではvascular leakageが強いことが示唆される。 2 LPSに暴露したマウスではvascular leakageを示すが、MAPK系の各種シグナル伝達阻害剤を用いた治療効果を解析した。LPSによる透過性亢進は、toll like receptor-4、TNF-αを介した作用が主体であり、細胞内シグナル伝達ではMAP kinase系の経路が強く関与しているという実験データを得た。さらに、VEGFにて前処理した効果を検討している。
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Research Products
(1 results)