2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨成長障害における分子基盤の解明:軟骨無形成症に対する治療法開発への応用
Project/Area Number |
14570747
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 勝 岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (20253023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 良孝 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (60346442)
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
清野 佳紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80028620)
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Keywords | 軟骨細胞 / Stat1 |
Research Abstract |
【方法】軟骨株化細胞ATDC5に、ACH(G380R)、TDII(K650E)、骨変形が最も重症のSevere ACH with Developmental Delay and Acanhosis Nigricans(SADDAN : K650M)の変異体FGFR3を過剰発現させ、in vitro kinase assayによりFGFR3のリン酸化を、抗リン酸化Stat1抗体を用いたimmunoblotによりStat1のリン酸化を検討した。さらに、Stat1-GFP(green fluorescent protein)融合蛋臼を作製しStat1の細胞内局在性について検討した。Stat1の機能解析は、[^3H]-thymidine取り込み能を検討することにより行った。 【結果】(1)FGFR3活性の検討:FGFR3のリン酸化は、野生型FGFR3導入細胞(WT細胞)と比べてACH細胞、TDII細胞、SADDAN細胞では、それぞれ20倍、100倍、140倍の増加が見られた。 (2)変異FGFR3導入細胞におけるStat1の活性化:Stat1のリン酸化は、TDII細胞およびSADDAN細胞においてWT細胞と比べそれぞれ61倍と135倍増加した。一方、ACH細胞ではStat1の活性化はごくわずかであった。次いでStad-GFP融合蛋臼によりStat1の核移行を検討したところ、TDII細胞およびSADDAN細胞では核に強く局在する一方で、ACH細胞の核でのシグナルはごく弱いものであった。 (3)ドミナントネガティブ(DN)-Stat1の作用:TDII細胞ではWT細胞と比較して[^3H]-thymidineの取り込み能は約60%に低下していた。この細胞に、DN-Stat1を導入したところ[^3H]-thymidineの取り込み能は約85%にまで回復した一方で、DN-Stat5a、DN-Stat5bを導入した場合では、回復効果は認めなかった。 (4)恒常的活性型Stat1の作用:恒常的活性型Stat1を作製しATDC5に導入したところ、野生型Stat1導入細胞と比べ[^3H]-thymidineの取り込み能は約50%低下した。 【考察・結論】Stat1はTD細胞およびSADDAN細胞で非常に強く活性化されているとともに、ACH細胞でも軽度ながら活性化され、その程度は臨床的重症度およびFGFR3活性と相関することが判明した。さらに、ドミナントネガティブ型および恒常的活性型Stat1の発現実験により、Stat1が軟骨細胞の増殖能を制御していることが明らかとなった。これらの結果により、Statファミリーの中でも特にStat1が、四肢短縮型小人症の発症機序に重要な役割を果たしていることが判明した。
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Research Products
(1 results)