2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨成長障害における分子基盤の解明:軟骨無形成症に対する治療法開発への応用
Project/Area Number |
14570747
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 勝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20253023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
山中 良孝 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60346442)
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Keywords | 軟骨無形成症 / FGF receptor 3 / STAT1 / 骨成長障害 |
Research Abstract |
【目的】軟骨無形成症(ACH)は四肢短縮型低身長症の中で最も発症頻度の高い疾患で、点突然変異したFGF receptor 3(FGFR3)の恒常的活性化による軟骨細胞の増殖抑制が原因で、一部はSTAT1のリン酸化を介する。ACH類似疾患には、軽症型の軟骨低形成症(HCH)、重症型の致死性骨異形成症I、II型(TDI、TDII)、さらに重症のSADDANがある。今回、FGFR3関連疾患の発症メカニズムを解明する目的で変異FGFR3を用いて検討した。【方法】発現ベクターにより次の変異FGFR3をHEK293T細胞に強制発現した二膜貫通領域内のY373C(TDI)、G380R(ACH)、及びチロシンキナーゼ領域内のK650N(HCH)、K650E(TDII)、K650M(SADDAN)。FGFR3の自己リン酸化及びSTAT1のリン酸化はウエスタンブロット法で、FGFR3の細胞内局在性は免疫染色法で解析した。【結果】1)WT、ACH、TDIでは変異FGFR3が細胞膜に局在する一方、HCH、TDII、SADDANでは小胞体に局在した。2)FGFR3の自己リン酸化の程度は、WT<HCH<ACH<TDI=TDII<SADDANの順で、それぞれWTと比較して1.2倍、1.4倍、4.4倍、5.8倍、8.1倍であった。3)STAT1のリン酸化はTDIよりもTDII、SADDANで強く認められ、それぞれWTと比較して1.4倍、2.0倍、3.7倍であった。【考察】変異FGFR3の局在性は、細胞膜と小胞体の2グループに分類された。また、骨成長障害の重症度は、FGFR3の自己リン酸化の程度に相関した。さらに、同じ重症型でもSTAT1のリン酸化はTDIよりもTDIIとSADDANで強く認められ、STAT1経路は小胞体局在の変異FGFR3特有のシグナルであることが判明した。【結論】骨成長障害の重症度は、変異FGFR3の細胞内局在性と恒常的活性化の程度が重要で、同じ重症型でも異なる細胞内シグナルを持つ。こうした病態解析に基づくアプローチは、難治性骨系統疾患の新しい治療法の開発につながる。
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Research Products
(4 results)