2002 Fiscal Year Annual Research Report
腎線維症発症におけるコラーゲン結合インテグリン(IG)レセプターの役割解明
Project/Area Number |
14570748
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
香美 祥二 徳島大学, 医学部附属病院, 講師 (00224337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉栖 正典 徳島大学, 医学部, 講師 (60294667)
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
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Keywords | インテグリン / ECMリモデリング / コラーゲン / MMP / エンドセリン / TGF-β |
Research Abstract |
小児の慢性、進行性腎疾患に共通する細胞生物学的特徴は、糸球体メサンギウム細胞(MC)や腎間質線維芽細胞(Fib)によるコラーゲン(COL)基質を中心とした細胞外基質(ECM)の異常リモデリングであり、最終的には糸球体硬化、間質線維化からなる腎線維症を呈する。この腎線維症発症に関わる異常なコラーゲン(COL)基質リモデリングの分子生化学的機序をラット腎疾患モデルや培養糸球体メサンギウム細胞(MC)、腎間質線維芽細胞(Fib)を用いて分析した。 1)組織線維化現象(COLリモデリング)のin vitroモデル、COLゲルコントラクションアッセイを用いたIG機能の検討:腎炎促進因子であるエンドセリンは、培養MCのα1β1IGを介する遊走能を刺激することによりCOLリモデリングを冗進させた。この作用に加えてエンドセリンはMCのMMP-2の分泌も亢進させることが判明した。一方、もう一つの腎炎促進因子、TGF-βは培養Fibのα1β1IG発現やα-SMアクチン発現を増加させることによりCOLリモデリングを刺激することが推測された。これら二つの細胞のCOLリモデリング能力は抗α1IG機能阻害抗体により抑制された。 2)ラット抗Thy-1腎炎を用いたα1β1IGの役割検討:抗Thy-1腎炎は進行性腎炎に見られるECMの異常リモデリング像を呈する腎炎モデルである。この腎炎を用いてα1β1IGの機能阻害を試みた。α1β1IG機能阻害抗体を左腎動脈より投与したところ、腎炎に見られる細胞増殖や異常ECMリモデリングがコントロールIgG投与に比べて抑制されたことよりα1β1IGがCOLリモデリングを制御する重要なIGレセプターであることが判明した。今後さらにIGより発生する細胞内シグナル伝達機構(Ras/Rhoシグナル)を分析し小児腎疾患の進展機序を分子生化学的に解明する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shoji Kagami: "Effects of anti-α1-integrin subunit antibody on anti-thy-1 glomerulonephritis"Lab Invest. 82. 1219-1227 (2002)
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[Publications] Akiko Kitamura: "Endothelin-1 is a potent stimulator of α1β1integrin-medilated collagen matrix remodeling by rat mesangial cells"Biochem Biophys Res Commun. 299. 555-561 (2002)