2002 Fiscal Year Annual Research Report
1型糖尿病の発症に関わる転写因子T-betの機能解析とその転写制御に関する研究
Project/Area Number |
14570751
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒丸 龍一 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (60304804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 由佳 九州大学, 医学部附属病院, 医員
井原 健二 九州大学, 医学部附属病院, 助手 (80294932)
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Keywords | T-bet / 1型糖尿病 / 遺伝子多型 / 転写活性 |
Research Abstract |
T-bet遺伝子His33Gln多型による転写活性の変化 我々は以前の研究で1型糖尿病とT-bet遺伝子His33Gln多型の関連を解析した。その結果、日本人1型糖尿病群においてはGln33多型の頻度がコントロール群と比較して統計学的に有意に高いということをはじめて発見した。今回あらたに、T-bet遺伝子His33Gln多型が日本人1型糖尿病の発症に影響を与える分子機序を明らかにするため、同遺伝子多型にともなうT-betタンパク質の転写活性の変化を検討した。 まず、健常人ボランティアより末梢血リンパ球を分離、培養後、刺激にて活性化しRNAを抽出た。RT-PCR法によりT-bet遺伝子のタンパク翻訳領域を増幅し、つぎにPCR産物をc-Mycとの融合タンパクとして発現できるベクターpCMV-Tagにサブクローニング後、シークエンス法によりHis33とGln33多型のクローンを選別した。2種類のT-bet(T-bet His33とT-bet Gln33)を発現するプラスミド(pTbet-His33およびpTbet-Gln33)を作成するとともに、T-boxタンパク質が結合するDNA塩基配列を有するIFNγ遺伝子プロモーターの下流にルシフェラーゼ遺伝子翻訳領域を挿入したIFN-γルシフェラーゼリポータープラスミドを準備した。それぞれのT-bet発現プラスミド(T-bet His33またはT-bet Gln33)とともにIFN-γルシフェラーゼリポータープラスミドをHeLa細胞にリポフェクション法にて導入し、12時間後にそれぞれの転写活性をデュアル・ルシフェラーゼアッセイ法で解析した。 その結果、T-bet Gln33はT-bet His33よりも有意に高い転写活性を示した(p=0.0001、Student's t検定)。このことは、T-bet遺伝子His33Gln多型がIFN-γ遺伝子の発現に影響を与える機能的多型であることを示している。すなわち、T-bet Gln33多型は、T細胞におけるIFN-γ発現を誘導する機序を介して日本人の1型糖尿病の発症に関与しているものと考えられる。
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