2003 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の発症、進展における血小板活性化因子と分解酵素遺伝子変異の研究
Project/Area Number |
14570762
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (10246522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50137262)
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80196865)
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
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Keywords | 川崎病 / 血小板活性化因子(PAF) / PAF分解酵素 |
Research Abstract |
血小板活性化因子(以下PAF)濃度はPAF分解酵素(以下PAF-AH)遺伝子によって厳密に規定される。PAF-AH遺伝子の変異ある患児ではPAF-AH活性低下の結果、PAF濃度の上昇が容易に生じ、より強い炎症、血小板凝集が生じて冠動脈病変及び血栓性病変を引き起こす可能性が考えられるが、この遺伝子変異の検討はまだない。申請者らは、川崎病患児のPAF-AH遺伝子変異について検討した。 【研究経過・研究成果】 平成14-15年の2年間に、川崎病の既往がある患児のうち、患児本人またはその保護者からinformed consentの得られた計113名からDNAの提供を受け、PAF-AH遺伝子第9エクソンの点変異を検討した。PAF-AH遺伝子のGG、GT、TT genotypesの頻度はそれぞれ79例(69.9%)、33例(29.2%)、1例(0.9%)であった。G Alleleの頻度は84.5%、T Alleleの頻度は15.5%で以前に報告された日本人での検討とほぼ一致していた。 今回、この113例の中で、γグロブリン静注療法を受けて、急性期の臨床データが保存されていた患児76例につき、第9エクソンの点変異の有無と臨床的パラメータを検討した。GG群が57例、GT群が19例であった。両群間で(1)年齢、(2)性、(3)PAF-AH活性、(4)発熱期間、(5)IVIG投与開始病日、(6)IVIG総投与量、(7)IVIG追加投与例、(8)冠動脈病変合併例、(9)血清Na最低値、(10)血清アルブミン最低値、(11)血清CRP最大値、(12)白血球最大値、(13)好中球最大値、(14)血小板最大値について比較検討した。この内、有意差を認めたのは、PAF-AH活性、有熱期間、IVIG総投与量、IVIG追加投与例数、血清Na最低値であった。以上の結果から、T alleleを持つ例ではPAF-AH活性が低く、IVIG不応例が有意に多いことが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshioka T, Matsutani T, Toyosaki-Maeda T, Suzuki H, et al.: "Relation of streptococcal pyrogenic exotoxin C as a causative superantigen for Kawasaki disease"Pediatr Res. 53(3). 403-410 (2003)
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[Publications] 南 孝臣, 鈴木啓之, 武内 崇 他: "急性期CRP低値で経過し、冠動脈瘤を形成した川崎病男児例"Prog Med. 23(7). 1737-1740 (2003)
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[Publications] 花井直美, 鈴木啓之, 南 孝臣, 武内 崇 他: "子供の川崎病発症を契機に発見された川崎病親子例"日本小児科学会雑誌. 107(10). 1375-1377 (2003)
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[Publications] Suzuki H, Takeuchi T, Minami T, et al.: "Water retention in the acute pahse of Kawasaki disease -Relationship between edema and development of coronary arterial lesions -"Eur J Pediatr. 162(12). 856-859 (2003)