2004 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の発症、進展における血小板活性化因子と分解酵素遺伝子変異の研究
Project/Area Number |
14570762
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
武内 崇 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10246522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
鈴木 啓之 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80196865)
上村 茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50137262)
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Keywords | 川崎病 / 血小板活性化因子(PAF) / PAF分解酵素 / 免疫グロブリン療法 / 不応例 |
Research Abstract |
血小板活性化因子(以下PAF)濃度はPAF分解酵素(以下PAF-AH)遺伝子によって厳密に規定される。PAF-AH遺伝子の変異ある患児ではPAF-AH活性低下の結果、PAF濃度の上昇が容易に生じ、より強い炎症、血小板凝集が生じ、川崎病において冠動脈病変及び血栓性病変を引き起こす可能性が考えられるが、この遺伝子変異の検討はまだない。申請者らは、川崎病患児のPAF-AH遺伝子変異につき検討し、遺伝子変異と川崎病発症や発症後の臨床経過における相違について詳細に検討した。 【研究経過・研究成果】 免疫グロブリン静注療法(IVIG)を受けて、急性期の臨床データが保存されていた患児76例につき、第9エクソンの点変異の有無と臨床的パラメータを検討した。GG群が57例、GT群が19例であった。両群間で(1)年齢、(2)性、(3)PAF-AH活性、(4)発熱期間、(5)IVIG開始病日、(6)IVIG総投与量、(7)IVIG追加投与例、(8)冠動脈病変合併例、(9)血清Na最低値、(10)血清アルブミン最低値、(11)血清CRP最大値、(12)白血球最大値、(13)好中球最大値、(14)血小板最大値について比較検討した。この内、有意差を認めたのは、PAF-AH活性、有熱期間、IVIG総投与量、IVIG追加投与例数、血清Na最低値であった。IVIG追加投与例のより詳細な検討を行った。1999年までに発症した35症例では、IVIG総投与量2g/kgを5日間で投与し、その後の41例は2日間で投与していた。各々の期間での追加投与症例の比率を検討したところ、いずれの投与方法でも、GT・TT群が有意に追加投与症例が多いことが判明した(GG:GT+TT,4/27:5/8;P=0.015,4/30:5/11;P=0.042)。以上の結果から、T alleleを持つ例ではPAF-AH活性が低く、IVIG不応例が有意に多いことが示唆された。これらの事実から、IVIGが川崎病に有効であるメカニズムの一端が示唆され、さらに、IVIG不応例の治療にリコンビナントPAF-AHが有効である可能性を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)