2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570763
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
中西 浩一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50336880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徳茂 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10158412)
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Keywords | 先天性ネフローゼ症候群 / ネフリン / ポドシン / 糸球体上皮細胞 / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
先天性ネフローゼ症候群(CNS)は,小児慢性腎不全の原因の一つであり,小児腎疾患において重要な位置をしめる。ネフリンとポドシンは糸球体上皮細胞において相互作用し,蛋白透過性制御機構を維持していると考えられる。欧米ではCNSの多くがフィンランド型先天性ネフローゼ症候群を示し,その8割以上がネフリン遺伝子(NPHS1)変異が原因である。ポドシン遺伝子(NPHS2)は家族性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の原因遺伝子であるが,昨年CNSの原因にもなりえることが報告された。我が国のCNS患者では,これらの遺伝子変異の系統的検索は行われていない。 私どもは,まず,日本人CNS患者における,ネフリン遺伝子とポドシン遺伝子変異を解析した。 【研究経過・研究成果】日本人CNS患者13家系の13例において,末梢血白血球からDNAを抽出し,PCR-Direct Sequence法により,両遺伝子の全エクソンとエクソン-イントロン境界領域の塩基配列を決定し,遺伝子変異を検索した。13例中の2例にCNSの原因となる遺伝子変異を認めた。一例はこれまでに報告のないネフリン遺伝子変異ホモ接合体を示し,エクソン7にストップコドンを生じるナンセンス変異E246X(G736T)であった。他の一例はこれまでに報告のないポドシン遺伝子変異ホモ接合体を示し,エクソン5にストップコドンを生じるナンセンス変異R196X (C586T)であった。ネフリン・ポドシンそれぞれの遺伝子変異により異常な蛋白が産生されると推測され,本疾患の原因と考えられる。ネフリン遺伝子に変異が検出されたのは13例中1例のみであり,欧米に比し低く,他の遺伝子の変異が原因と考えられる。以上より,1.欧米症例と異なり,日本人CNSにおいてネフリン遺伝子変異の原因頻度は低い。2.我が国CNSにおいてもポドシン遺伝子変異が原因になる,ことが明らかになった。現在,WT1遺伝子,ACTN4遺伝子を検索中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masuda M, Nakanishi K, et al.: "Group A streptococcal antigen in the glomeruli of children with Henoch-Schonlein nephritis"Am J Kidney Dis. 41. 366-370 (2003)
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[Publications] Nakanishi K, Yoshikawa N: "Genetic disorders for human congenital anomalies of the kidney and urinary tract (CAKUT)"Pediatr Int. (in press). (2003)