2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫における発現遺伝子の網羅的解析と治療および診断に有用な分子標的の同定
Project/Area Number |
14570777
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
永田 俊人 日本大学, 医学部, 助手 (80339332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麦島 秀雄 日本大学, 医学部, 教授 (80183648)
高橋 泰夫 日本大学, 医学部, 助手 (30339329)
|
Keywords | 小児 / 固形腫瘍 / 神経芽腫 / 胚芽腫 / マイクロアレイ法 / Differential display法 / 網羅的遺伝子発現解析 / トランスレイショナル・スタディ |
Research Abstract |
データ・マイニング法の確立に向けて(永田・高橋・麦島):神経芽腫を含む小児腫瘍の生物学的特徴を明らかにし、新規治療法の開発などに役立てるためには、腫瘍組織の遺伝子発現解析以外にも、腫瘍細胞の薬剤に対する暴露や腫瘍の進展に伴い、腫瘍細胞内で時間経過と共に発現変動を示す遺伝子群を同定する事も重要になってくる。それに伴い、マイクロアレイ法を用いて、時系列の遺伝子発現プロファイルから発現変動を示す遺伝子の情報を抽出する、データ・マイニング法が必要になる。このような事も考慮に入れ、私共は本研究において、これまでにも比較的よく研究されている、一過性の虚血-再灌流傷害を受けたマウス海馬組織より得られた時系列の遺伝子発現プロファイルを用いて、時間経過と共に発現変動を示す遺伝子群を同定するための、データ・マイニング法の検討を行った。非虚血群と前脳虚血-再灌流傷害群の組織に対して、GeneChip^<TM>システム(Affymetrix)を用いて、約6500個の遺伝子の発現量を決定した。次に、得られた遺伝子発現情報を用いて、非虚血群と前脳虚血-再灌流傷害群との間で、遺伝子発現量の直接比較と統計学的解析とを行い、虚血-再灌流後24時間の間に発現変動を示す25遺伝子を同定した。得られた遺伝子セットに対して、教師なし学習法の階層的クラスター法とk-meansクラスター法とを用いて、遺伝子発現変動のパターンを検討したところ、各々の手法により虚血-再灌流傷害に関連すると思われる4つの遺伝子発現パターンが得られ、2つの方法で行った結果は一致した。選ばれた25遺伝子には、一過性前脳虚血-再灌流後の神経組織で発現変動を示す事が既に報告されている14遺伝子の他に、新たに11遺伝子の発現変動が確認された。以上の結果から、統計学的手法と教師なし学習法とを組み合わせる事により、時系列の遺伝子発現プロファイルから、時間経過と共に発現変動を示す信頼性の高い遺伝子セットが抽出できると考えられた。また今回用いたデータ・マイニング法は、今後腫瘍細胞の薬剤暴露に対する遺伝子の転写応答の解析や、腫瘍の進展に伴う時系列の遺伝子発現変化の解析に応用が可能であると思われた(Nagata T et al., Mol.Brain Res.,2004)。
|
Research Products
(6 results)