2003 Fiscal Year Annual Research Report
体外増幅したヒト造血幹細胞に対するCXCR4遺伝子導入
Project/Area Number |
14570780
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
福永 慶隆 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50097036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 高弘 日本医科大学, 医学部, 助手 (20322505)
右田 真 日本医科大学, 医学部, 講師 (50256963)
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Keywords | CXCR4 / SDF1 / 造血幹細胞 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
我々は造血幹細胞移植の治療成績の向上を目指し骨髄生着の機序に着目した。造血幹細胞移植は、血液疾患、悪性腫瘍のみならず代謝異常症や免疫不全症など多くの疾患に対する日常的な治療となりつつあり、そのソースとして臍帯血の有用性はすでに認められている。しかし含有される造血幹細胞の量的な制限がある。もし造血幹細胞の骨髄への生着率を向上することができれば、造血幹細胞移植成立に必要な幹細胞数を減少させる事が可能となる。近年の、骨髄ストローマ由来のケモカインでpreB細胞の増殖因子であるSDF-1とそのレセプターCXCR4の造血幹細胞における発現が骨髄生着に重要な役割を果たしていること、さらにDextran sulfate(Dex)がSDF-1の分泌に関与することがわかってきた。まず、我々はCXCR-4遺伝子を有するレトロウイルスベクターを作成し造血幹細胞への遺伝子導入を試みた。次いでGFPマウスをドナー、Ly5.2マウスをレシピエントとして骨髄移植実験を行なった。Dex及びSDF1をマウスに経静脈的に投与すると濃度依存性に末梢白血球数の上昇を認めた。また前処置としてSDF1、Dexを各々投与したドナーGFPマウスから採取した4×105個の骨髄単核球を移植した群と、前処置していないドナーマウスの骨髄を移植したコントロール群を比較したところ、移植1ヵ月後に骨髄生着率はコントロール群に比しSDF1、DEXを投与した群は有意に上昇した。また移植10日後の末梢白血球数とキメラリズムを解析したSDF1、Dex投与群ではキメリズムの上昇と末梢白血球の早期回復が認めることを確認した。
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