2003 Fiscal Year Annual Research Report
未熟児脳障害におけるインターロイキン18の機能解析と臨床応用への基礎検討
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14570784
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
皆川 京子 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (80268557)
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Keywords | IL-18 / newborn / brain |
Research Abstract |
1.現在まで新生児期に発症する脳障害を生化学的に予測したり、発症の程度を生化学的に評価するための有効な指標はなく、発症は臨床症状と画像的検査でのみ検討されてきた。しかし最近われわれは、未熟児出生時の臍帯血においてインターロイキン18(IL-18)の高値と出生後通常は数週間後に診断される脳室周囲白質変性(periventricular leukomalacia,PVL)等、脳の器質的障害の発症に強い相関があること、さらにはIL-18高値は生後1年以後に診断される脳性麻痺(cerebral palsy,CP)の発症に密接に関連することを報告した(Minagawa et al.,Cytokine, in press)。この成果を利用して、未熟児において、出生後に発症する脳障害にIL-18が果たす役割をあきらかとし、発症防止に必要な因子を解析するのが本研究の目的である。 インターロイキン18(IL-18)の臍帯血中レベルの高値と未熟児における周産期合併症の関連を、これまでのわれわれの研究に加えてさらに明らかとするため、本研究への協力施設より臍帯血の提供を受けてIL-18値を測定し、未熟児の周産期死亡・脳の機質的機能的障害の発症・CP発症の関係をレトロスペクティブに検討する。またわれわれの施設では、未熟児におけるintensive careの必要性を出産時に予測する目的でIL-18の出生時臍帯血中レベルを測定し、IL-18高値が見出された場合にはこれまで以上に密度の高いintensive careを行うとともにその後も臨床経過にあわせてIL-18濃度を測定するプロスペクティブな検討を行い、これまでのPVL発症と比較し統計的に検討する。IL-18以外にもこれまで新生児脳障害と関連する可能性が示唆されてきたTNF-α、IL1、IL-6等のサイトカインも同時に測定してIL-18との相互関係を明らかとし、臨床的に有用な生化学的な指標としては何が適切かを検討する。一方動物実験レベルでは、IL-18をIL-12存在下でマウスに投与すると、肝細胞の広範なapoptosisが惹起される。IL-18を妊娠マウスに投与すると、IL-12存在下で胎仔が障害をうけることをすでにわれわれは確認している。この系を発展させることにより、IL-18投与によって胎仔や新生仔の脳神経細胞死や分化異常を惹起させる系を作製することができると推測される。 1.出生時臍帯血血清におけるIL-18、TNF-α、IL-1、IL-6、Inteferon-γ等のサイトカイン濃度の測定インフォームドコンセント成立症例は約100例であったがその中で極低出生体重児が約30例である。→出生時臍帯血血清におけるIL-18、TNF-α、IL-1、IL-6、Interferon-γ等のサイトカイン濃度の測定をおこなった。2 未熟児症例の臨床経過、予後の検討 3 出生後脳障害を呈した数例の経過及び濃度の測定をおこなった。重篤な脳障害を示す症例はIL-18上昇が持続する傾向にあるという結果を得た。4 未熟児症例の予後検討として発達外来にて予後の経過観察をおこなった。5 画像検査など神経学的評価もおこなった(case1)在胎27週5日出生体重1018g、出生後より頭部超音波にてフォローアップしたところCysticPVLを認めた。膀帯血IL-18は322.01pg/ml、IL-6968.92pg/ml、日齢2にはIL-18 233.57pg/ml、IL-6(-)、日齢3には94.33pg/ml、IL-6(-)、IL-18 259.84pg/ml、IL-6(-)でその後IL-6(-)であったが、IL-18はMAX739.04/m間で上昇し、持続した。その他のPVLなhigh riskl児も同様な経過が多い傾向にあった。重篤な脳障害(PVL)を示す症例は血清IL-6値が一過性に上昇するのに比べて血清IL-18上昇が持続する傾向にあるという結果を得た。また、嚢胞性PVLや、脳室周囲の出血性梗塞の発症は減少し、非嚢胞性白質障害は最近早期産児の白質障害White matter injury(WMI)として最も一般的となっているが、その正確な病態や発生率についてのコンセンサスはまだ得られていないしかし、WMIよりcystictypeのほうが低値であったが持続期間は長かった
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