2002 Fiscal Year Annual Research Report
小児生活習慣病モデルにおける脂肪細胞発現遺伝子と酸化ストレスの関連性
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14570787
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
朝山 光太郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70129310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 一重 産業医科大学, 医学部, 助手 (60260569)
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Keywords | 生活習慣病 / 脂肪細胞 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
肥満児の血中アディポネクチン値を中外診断社のELISAキットで測定した。肥満児では同年齢非肥満児より有意に低値であった。治療によって肥満度が改善した例では、血中アディポネクチン値の上昇を認めた。肥満児の血中アディポネクチン値は内臓脂肪面積と負の相関関係にあり、腹囲などとも負の相関を認めた。小児において内臓脂肪との検討成績は以前にはなく、アディポネクチンの成績は、肥満児に早期に治療を導入する理由付けとなる生化学的根拠として、病態生理上の意義が大きいと考えられる。また、アディポネクチンはTNF-αと相互に拮抗的に阻害し合うことが試験管内の研究成績で明らかにされているが、肥満児における血中濃度の測定も計画中である。2種類の脂肪細胞すなわち白色脂肪細胞のモデルである3T3-L1脂肪細胞と培養褐色脂肪細胞について検討した。3T3-L1脂肪細胞においては、誘導型NO合成酵素(iNOS)の誘導にLPS(L)、TNF-α(T)、IFN-γ(I)の3者が必要であったが、褐色脂肪細胞では、LとTの2者でiNOSが誘導され、有意なNOが産生された。cAMPアナログ(dibutyryl cAMP)とforskolinは、3T3-L1脂肪細胞においてはL、T、Iの3者によるiNOSの発現を減弱させ、NO産生を抑制した。一方、褐色脂肪細胞においては、LとTによるiNOSの発現を高めた。両細胞ともiN0S発現の変動は転写因子NF-κBの活性化の変動と一致していた。白色脂肪と褐色脂肪とではcAMP経路が少なくともNO産生調節に関して抑制と刺激の正反対の作用をすることが新しく判明した。また、他のサイトカインによってiNOSが誘導されるか否かについても検討を始めている。動物実験については寒冷刺激などの試験が現在進行中である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Asayama K: "Threshold values of visceral fat measures and their anthropometric alternatives for metabolic derangement in Japanese obese boys"International Journal of Obesity. 26(2). 208-213 (2002)
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[Publications] Su SB, Asayama K et al.: "Superoxide dismutase is induced during rat pancreatic acinar cell injury"Pancreas. 24(2). 146-152 (2002)
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[Publications] Asayama K: "Increased serum cholesteryl ester transfer protein in obese children"Obesity Research :. 10(6). 439-446 (2002)
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[Publications] Suzuki K, Asayama K et al.: "The role of oxidative stress on pathogenesisi of hypertensive arterial lesions in rat mesenteric arteries"Acta Histochemica et Cytochemica. 35(4). 287-293 (2002)
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[Publications] Dobashi K: "Combination therapy of N-acetylcysteine, sodium nitroprusside and phosphoramidon attenuates ischemia-reperfusion injury in rat kidney"Molecular & Cellular Biochemistry. 240. 9-17 (2002)
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[Publications] Yamamoto Y, Asayama K et al.: "Expressions of the prepro-orexin and orexin type 2 receptor genes in obese rat"Peptides. 23(9). 1689-1696 (2002)
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[Publications] 内田則彦, 朝山光太郎 他: "学童肥満の治療反応性に対する背景因子の影響"日本小児科学会雑誌. 106(3). 401-408 (2002)
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[Publications] 林辺英正, 朝山光太郎 他: "肥満児における血中plasminogen activator inhibitor-1値と内臓脂肪との関連性"日本小児科学会雑誌. 106(8). 994-999 (2002)
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[Publications] 朝山光太郎 他: "小児肥満症の判定基準:小児適正体格検討委員会よりの提言"肥満研究. 8(2). 204-211 (2002)