2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児生活習慣病モデルにおける脂肪細胞発現遺伝子と酸化ストレスの関連性
Project/Area Number |
14570787
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
朝山 光太郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70129310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土橋 一重 産業医科大学, 医学部, 助手 (60260569)
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Keywords | 生活習慣病 / 脂肪細胞 / 酸化ストレス / 一酸化窒素 / 肥満 / 糖尿病 |
Research Abstract |
酸化ストレスの増加により酸化的変性を受けたlow-density lipoprotein (LDL)は直接マクロファージに取り込まれ動脈硬化を引き起こす。酸化LDLの測定が直接可能となり、酸化ストレスの良い指標となるが小児における成績は未だ報告されていなかった。肥満児における検討を今年度は行った。肥満児の酸化LDLは非肥満児より有意に高値であり酸化ストレスの亢進を反映していた。肥満児の酸化LDLと腹囲、腹囲臀囲比、内臓脂肪面積、肝機能、尿酸、トリグリセリド、LDL-コレステロール、アポB、アポB/アポA1などとは良好な正の相関関係を示し、metabolic syndromeとの関連性も示唆された。肥満では脂肪細胞からのTNF-α産生量が高まり、抗動脈硬化作用を有するアディポネクチンの産生を押さえる。3T3-L1培養脂肪細胞において、TNF-αは濃度依存的にiNOS発現に関わる重要なシグナルであるNF-κBを活性化し、抗酸化剤であるN-acetyl cysteine (NAC)は濃度依存的にTNF-αによるNF-κB活性化を抑制することが明らかとなった。これはNF-κBレベルと平行して変動するIL-6分泌量の変化でも確認された。スタチンの効果については、現在検討中である。3T3-L1脂肪細胞では抗酸化酵素であるカタラーゼ、セレン依存性グルタチオンペルオキシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(CuZn-およびMn-SOD)が細胞の分化段階にしたがって各々独立して蛋白量および酵素活性が高まることが判明した。分化に伴って代謝が活性化するため、酸化ストレスも高まるが、これに対応した発達と考えられた。TNF-α投与により抗酸化酵素活性は低下し、脂肪組織中の酸化ストレスが高まる可能性が示唆された。すなわち、脂肪細胞におけるインスリン抵抗性、酸化ストレス、動脈硬化促進などにはTNF-αが中心的な役割を演じていると考えられた。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Kato S, Asayama K et al.: "Immunohistochemical expression of inducible nitric oxide synthase (iNOS) in human brain tumors."Acta Neuropathologica (Berl). 105(4). 333-340 (2003)
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[Publications] Dobashi K, Asayama K et al.: "Differential effects of cyclic AMP on induction of nitric oxide synthase in 3T3-L1 cells and brown adipocytes."Free Radical Biology and Medicine. 35(1). 94-101 (2003)
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[Publications] Asayama K, Dobashi K et al.: "Decrease in serum adiponectin level due to obesity and visceral fat accumulation in children."Obesity Research. 11(9). 1072-1079 (2003)
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[Publications] Nakane T, Asayama K et al.: "Type V hyperlipoproteinemia in systemic lupus erythematosus."Pediatric International. 45. 352-354 (2003)
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[Publications] Asayama K, Ozeki T et al.: "Criteria for medical intervention in obese children : A new definition of "Obesity disease" in Japanese children."Pediatric International. 45. 642-646 (2003)
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[Publications] 朝山光太郎: "小児、学童における肥満:治療と予後"日本臨床. 61(増刊号6). 875-879 (2003)
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[Publications] 土橋一重, 朝山光太郎: "肥満児の血中アディポネクチン値"肥満研究. 9(2). 190-191 (2003)
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[Publications] 朝山光太郎: "成人の肥満症診断基準と小児の肥満症診断基準"小児科臨床. 56. 2468-2474 (2003)
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[Publications] 土橋一重, 朝山光太郎: "肥満と脂肪細胞"小児科臨床. 56. 2277-2296 (2003)