2002 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素代謝と酸化・抗酸化バランスの小児期での発達と疾患における意義
Project/Area Number |
14570788
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
土橋 一重 産業医科大学, 医学部, 助手 (60260569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 良介 産業医科大学, 医学部, 助手 (00330986)
朝山 光太郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70129310)
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Keywords | 一酸化窒素 / 酸化ストレス / 虚血再灌流 / 腎 / グルタチオンペルオキシダーゼ / カタラーゼ |
Research Abstract |
本年度は、まず、研究計画調書に記入した平成15年度実施予定の実験計画である「虚血再灌流腎での一酸化窒素(NO)の役割」についての研究を先行して行い、その成果の一部はすでに発表した。ラットの腎動脈をクランプし(このとき虚血により組織中抗酸化酵素レベルが低下する)、その後血流を再開すると虚血時間に応じたフリーラジカル障害が生じる。虚血前および虚血中にNO供与体であるニトロプルシッドナトリウム、抗酸化物質であるN-アセチルシステイン・エンドセリン変換酵素阻害剤であるフォスフォラミドンを血管内に投与すると再灌流後の血中尿素窒素値、クレアチニン値の改善、光顕レベルでの腎組織の改善、また腎組織中各種抗酸化酵素レベルの改善が認められ、実際、ラットの生存率も有意に上昇した。今後、さらに種々の抗酸化剤の効果を検討していく予定である。次に、抗酸化酵素の1つ細胞外グルタチオンペルオキシダーゼ(EC-GPX)に関する検討を開始した。ラットの腹腔内へエンドトキシンを投与すると種々の細胞において誘導型NO合成酵素が誘導され、血中および各臓器中でNO産生量が増加する。血中の抗酸化酵素EC-GPXは、当初NOで不活化されると推測されたが、早期には血中のEC-GPX活性はむしろ上昇することが判明した。産生臓器である腎機能の変化ならびに他の抗酸化酵素レベルとの関連性について検討中である。疾患との関連では、小児肥満での代謝と酸化ストレスについて検討し、成果の一部は発表した。また、新らたにペルオキシソーム病の細胞を用いた検討を開始した。H_2O_2を消去するカタラーゼはペルオキシソームに局在するが、先天性ペルオキシソーム欠損症であるZellweger症候群ではカタラーゼは細胞質内に存在する。私が測定したところ正常細胞の3から4倍その活性は高値であった。酸化・抗酸化バランスについて、現在検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kazushige Dobashi: "Combination therapy of N-acetylcysteine, sodium nitroprusside and phosphoramidon attenuates ischemia-reperfusion injury in rat kidney"Molecular & Cellular Biochemistry. 240. 9-12 (2002)
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[Publications] Kohtaro Asayama: "Threshold values of visceral fat measures and their anthropometric alternatives for metabolic derangement in Japanese obese boys"Int J Obes Relat Metab Disord. 26. 208-213 (2002)
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[Publications] Kohtaro Asayama: "Increased serum cholesteryl ester transfer protein in obese children"Obes Res.. 10. 439-446 (2002)
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[Publications] 林辺英正: "肥満児における血中plasminogen activator inhibitor-1値と内臓脂肪との関連性"日本小児科学会雑誌. 106. 994-999 (2002)