2003 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素代謝と酸化・抗酸化バランスの小児期での発達と疾患における意義
Project/Area Number |
14570788
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health |
Principal Investigator |
土橋 一重 産業医科大学, 医学部, 助手 (60260569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 良介 産業医科大学, 医学部, 助手 (00330986)
朝山 光太郎 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70129310)
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Keywords | 一酸化窒素 / 酸化ストレス / サイクリックAMP / NF-κB / アディポサイトカイン / 小児代謝異常症 |
Research Abstract |
研究計画調書に平成15年度実施予定としていた「虚血再灌流腎での一酸化窒素の役割」に関する研究を平成14年に先行したため、平成14年度実施予定としていた「種々の細胞でのiNOSの発現とcyclic AMPによる発現調節機構」に関する実験を平成14年後半から開始した。その成果の一部はすでに英文論文として発表した。脂肪細胞における検討では、cyclic AMP-PKA経路の活性化は、白色脂肪細胞ではLPSとサイトカインによる転写因子NF-κBの活性化を介するiNOS発現を抑制し、褐色脂肪細胞においてはこれを増強させるという異なった調節作用があることが、本研究を通して明らかとなった。他の細胞腫についても同様の検討を計画中である。次に白色脂肪細胞の分化にともなう抗酸化酵素システムの変動について検討した。この検討で各種抗酸化酵素レベルが細胞の分化段階にしたがつて各々独立して発達することが明らかとなった。また、TNF-αによりこれら抗酸化酵素活性は低下した。すなわち、肥満でTNF-αの産生が増加すると脂肪組織中の酸化ストレスが高まる可能性が示唆された。これら成績は複数の学会で発表し、現在はさらに褐色脂肪細胞についても同様の検討を行っている。また、肥満小児での酸化ストレスについても血中酸化LDL等を検討し、肥満児でのアディポネクチンなどのアディポサイトカイン分泌の変動についても検討し、発表した。さらに、他の小児代謝性疾患における検討としてペルオキシソーム病の線維芽細胞を用いた実験を開始した。ペルオキシソーム病のうち特にカタラーゼが細胞質内に局在するタイプの疾患においては、酸化・抗酸化のアンバランスが生じる。これらの細胞において活性酸素・活性窒素代謝についてピタミンEなどの効果を検討中である。
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[Publications] Kazushige Dobashi: "Differential effects of cyclic AMP on induction of nitric oxide synthase in 3T3-L1 cells and brown adipocytes."Free Radical Biology and Medicine. 35. 94-101 (2003)
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[Publications] Kohtaro Asayama: "Decrease in serum adiponectin level due to obesity and visceral fat accumulation in children."Obesity Research. 11. 1072-1079 (2003)
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[Publications] 土橋一重: "肥満児の血中アディポネクチン値"肥満研究. 9. 190-191 (2003)
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[Publications] 土橋一重: "肥満と脂肪細胞"小児科臨床. 56. 2277-2296 (2003)
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[Publications] 小寺浩司: "酸化的ストレスOxidative stress"小児科. 44. 737-738 (2003)